本文までスキップする

読みもの
Article

旧高取邸。

唐津に入って最初に尋ねたのが旧高取邸です。
ここは炭鉱王と言われた高取伊好が自宅兼迎賓のために建てた住宅です。純粋和風だけではなく洋間や暖炉なども併せ持つ興味深い建物です。よほど能が好きだったらしく、建物内には立派な能舞台が設えられています。本番には演者や奏者のスペースが、普段の間取りを変更してあらわれるように工夫されていて、見事な杉戸絵や欄間細工と共に住宅の内部に存在するとは思えないほどに本格的なものです。能舞台の下には地面をすり鉢状にして音響効果を増幅させる工夫もあるようで、かしわ手ひとつがビシーン・・・と、あたりに響き渡ります。客間や庭ばかりでなく、至る所に職人技が尽くされていてどこを見ても飽きることがありません。特に2階からの眺望は絶景で、大きく開かれたガラス窓が開放感を際立たせます。
ガイドの方も親切で、当時の暮らしぶりや建物の使われ方各所の工夫など丁寧に説明してくれます。ただ見て回るのとガイドの方に付いていただくのでは理解に雲泥の差が出ます。時間に余裕のある限りガイドの方にはご足労願いたいものです。