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すさみの家 改装工事 2

費用のこともありますから、改装工事に際しては出来るだけ使えるものは使う、という方向です。このタタミ間などは造りも材料もしっかりと出来ていますので、壁を珪藻土で塗り替えるだけでほぼこの形で残します。

大きく変えるのは居間と食堂。木は木らしく、コンクリートはコンクリートらしく、鉄は鉄らしく・・・というのが私の信条ですから、大きくなる空間は真っ直ぐな天井を取り払ってしまって、鉄骨の骨組みのままに、屋根勾配なりの高い天井にするつもりです。

そうすると屋根面の水平ブレース(木造建物でいう筋交いのようなもの)が見えてきますので、これをうまく飾りとして生かしたい。ひと工夫凝らして、見えてしまう鉄骨ブレースを利用して造り付けの照明器具にすることにします。出来のほどは竣工時にご確認ください。

居間と食堂は隔てる壁をとってしまって大きなLDKにします。天井と間仕切り壁の多くは取り払ってしまうことになりますが、そもそも柱をたくさん入れなければならない木造建築物とは違い、鉄骨造の良いところは柱や梁の間隔が広く取れて大空間を可能にするところ。構造体が持っているポテンシャルを発揮させてやりたいと思います。

天井の高い大空間で気を付けなければならないのは暖房・冷房の空調効率です。冷気は低いところに溜まりますからエアコンで何とかなっても、暖気は高いところに昇ってしまうので、暖房をエアコンで賄おうと思うと思いがけない出費になることがあります。

理性的に考えると、費用対効果に優れる電気式の床暖房が最も効率的です。しかし、それでは何となく味気ない。そこで、薪ストーブを入れることにしました。

コツをつかめば器具の扱いは簡単で圧倒的な火力で建物全体を暖めてくれます。薪の調達が大変ですが、当座は改装時の、処分するはずだった木材で賄えますし、職業柄あちこちで木材は手に入ります。電気代の最近の高騰をみればあながち的外れではない選択にも感じます。

居間とひと続きになる食堂も大きく変わります。壁付のキッチンはアイランド型に変更されて、天井も高くなります。

壁付キッチンの良いところは空間の利用効率が高いところ。その意味ではアイランド型は不利です。しかし、あちこちの空間を統合して、前述の大空間を造りますから床面積消費の大きいアイランド型のキッチンも可能ですし、使い勝手そのものはアイランドの方が良いようにも思います。

ざっと改装の大枠をご紹介しました。細かいところまで書ききれませんので、出来上がりを見ていただきたいところです。竣工時には見学会も開きたいと思っていますので是非お越しください。