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私たちには素敵なセンサーが備わっている。

クライアントに同行してメーカーのショールームを訪ねるのはよくあることです。建築的なアドバイスをしながら、もの選びや仕様の詳細を決めるのを手伝うのです。

どこのショールームも、まずはざっと商品の説明をして、特徴や価格を示し、それから詳細を詰めていきます。ショールームの良いところは目の前に本物が並んでいるところ。決めかねたら実物を見に行けばいいのですが、すべての品物がそろっているわけではありませんし、お客様のご希望そのままのセットがあるわけでもありません。

そんな時には、各部の実物見本やカタログ類を引っ張り出してきて、足りないところを補いながら進めます。このところは現物に代わってパソコン画面を見ながらCGを使って一連の作業を進めるのが主流です。

しかしこの、パソコン画面を見ながら・・・というのには私は少し懐疑的です。パソコン画面はなるほどそれなりには表現しますが、決して正確には表現できません。モニターの色設定ひとつで驚くほど印象が変わってしまうのですから。試しに隣のパソコン画面で同じものを出してみても、見る人が見ればそこはかとなく違いがあるのです。

そんな時に、これは良い!と思えるのがTOTOが採用しているミニチュア模型を組み立てる方法。本物と同じ素材、同じ色・柄で作られた小さな模型を用意し、それをお客様ご本人に組み立てていただく方法です。

小さくても本物ですから、パソコン画面のように表現や設定による感覚のずれもなく、ご本人直接の参加がますます興味をそそり、ものづくりの楽しさも相まって、これまで退屈そうにしていたお客様の表情が生き生きとしていくのが傍で見ていて分かるほどです。

良し悪しは自らの五感で確かめてください・・・これまで私の木の家を訪問してくださった方々にはそうお伝えしてきました。デジタルの世の中だバーチャルだともてはやされる時代でも、もの選びに迷った時には、ご自分の目と耳と鼻と肌触りなどの感覚と時には味覚や第六感まで総動員して判断しましょう。私たちには素敵なセンサーが備わっています。