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木の家と荷払い梁。

木材はできるだけ山出し寸法で使いたいと思っています。山出し寸法というのは、山で木を伐り倒したときに、搬出のために裁断される3メートル・4メートル6メートルなどの習慣的に採用されてきた寸法です。その寸法の木材を使うと調達に無理がなく、工程も乾燥もスムーズで経済的です。
しかし、現実的には全ての梁がその寸法で納まるわけではなく、どこかで梁を継がなければなりません。継ぎ手の出てくる梁を支える柱などの間隔が半間(約90センチ)や1間(約1.8メートル)ぐらいの短い間隔であれば特段の心配はしませんが、それ以上の間隔になると想定を超える大きさの地震などの時に外れたりすることが心配されます。そんなときには特殊な継ぎ手や金物を考えるより、私はその梁の下に荷払い梁という二重の梁をかけることを優先しています。
二重梁は上下の梁がずれない措置とともにボルトによる緊結をしっかりとしますので、万が一の梁外れの対応も万全になり、梁の継ぎ手に安心感が生まれます。また、梁の耐荷重も補佐的に負担してくれますので、見えがかり梁の左右の梁成(梁の高さ寸法)が違う場合などの調整に使えばすっきりとした見栄えの梁掛けになります。
柱や梁などの構造材をデザイン要素として見せる木の家では、木組みの面白さがそのまま建物の評価につながります。構造材の組み合わせ一つにも創意工夫を凝らし、建物全体で面白さを表現したいものです。