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大工道具。
建築の話題

大工道具。

それぞれの職方には、素人にあまり馴染みのない専門道具があるものです。今日ご紹介するのは、大工が床板を張るとき(それも壁際の最後の1枚)に使う道具です。
よく見かけるフローリング(合板の上に薄い木の板を張り付けた床に張る新建材)は幅が30センチぐらいあるものが一般的です。ですから、壁際の最後の1枚の扱いに困ることは少ないのですが、私たちが使っている無垢の縁甲板はその1/3ほどの幅しかありません。1/3ほどの幅の板を一枚一枚張っていくのは、当然3倍に近い手間がかかる上に、困るのは壁際の部分です。元々10センチと少ししかないので、必要に応じて切り縮めていくと、十分な締め固めができない幅になってしまうことがあります。そんなときに使うのがこの道具。
手のようになっている部分で壁際の板の端を捕まえて、真ん中あたりの盛り上がった部分をつかんで引っ張ります。その部分はスライドするようになっていて、道具尻に勢いよく当たり、その衝撃で板が締まっていく(板の間が詰まっていく)のです。
ガチャン・ガチャン・・・リズミカルな音ともに仕事が進んでいく様を見るのは楽しいもの・・・自分の仕事でもないのに、それでも結構楽しいのが不思議なところです。
 
古民家再生。
建築の話題

古民家再生。

和歌山は戦災にも遭ったので、全国的にみてそんなに多くの古民家が残っている地方ではありませんが、それでもあちこちに残ってはいます。これまで、古民家再生は、一部のコアなファンだけのもの・・・という雰囲気でした。多くの代えがたい資産が随分と壊されてきたものです。しかし、ようやくここに来て再生の話も聞かれるようになりました。古民家再生の仕事は、古くなってもう価値がなくなった・・・と思われているものに、大いなる価値を見いだす仕事。我々のアイデンティティーを子供たちにつないでいく大切な仕事です。
覚悟しなければならないことも多々あります。中でも心得ていなければならないことは二つ。一つは、構造材をそのまま利用するにしても、再生時には同規模の新築建物を建てるのと同じくらいの費用がかかること。もう一つは、構造の成り立ちが現在の建築基準法には適合しないこと。
実務に携わってみると新築では得られない古材の存在感を思い知ることになります。人と共に長い年月を刻んできた古材には、新しく造ったのではどうにも出せない味わいがあるのです。今私たちが造っている新築建物も、100年後にこのような存在感を持ち得るのでしょうか?当時の職人達が当たり前のように100年を超える寿命の建物を造ったように、私たちにも後世に残せる建物が造れるのでしょうか?今更ながらに、携わっている仕事の責任の重さと誇らしさを感じます。
取扱説明。
建築の話題

取扱説明。

先日、田辺市新庄町で古民家再生工事が竣工しました。竣工の度にあるのが設備類の取扱説明です。竣工の度にあるものなので、私自身は年に何度も聞くことになります。そもそも自分で図面に折り込んだ品物でありますし、これだけ聞いてれば目をつむっていても使えそうな気になりますが、そうはいかないのが難儀なところです。
そうはいかない一つの原因は、メーカーごとの特徴的な装備です。各メーカーしのぎを削っての技術開発競争ですから、やはりメーカーごとに特徴がある訳です。もう一つは、技術の進歩です。つい先日まではこれで良かったはずなのに・・・と思えるような事柄でも、新しい技術は日進月歩。各社毎年新型を出してきます。へえ~・ほぉ~・・・などと感嘆の声を漏らしながら聞き入っているのは住まい手よりも私・・・というような事態も起こります。なんせ、長年聞いてきたものですから、こんな風に新しくなったの・・・やら、そんな装備が付いたの・・・などの、昔に比べての変化は住まい手よりも感じやすい訳です。
かくして、ほぉ~・へえ~・・・を連発しながら、今回も熱心に説明に聞き入る私でありました。
手刻み加工。
建築の話題

手刻み加工。

最近の木造建築の現場では、木(構造材)の加工はプレカット(機械加工)が主流です。主流です・・・と言うより、ほとんどがプレカットで手刻みの現場を見かけることはほぼなくなりました。構造材の加工が機械加工になってしまうのは時代の流れで仕方のないことです。しかし、それぞれの特徴がどこにあって、どんな使い分けが良いのかの検討はあってしかるべきでしょう。
この度、和深で上棟される物件は全てが職人の手刻みです。柱と梁の接合部に機械と人間の加工に大きな違いはありません。違ってくるのは梁の継手が主です。今回採用されているのは尻ばさみ継手という継手。金輪継ぎや追っ掛け大栓継ぎ・・・というのは時々耳にしますが、尻ばさみ継手というのはあまり聞きませんね。いずれも重なり部分に複雑な加工をして、梁を一体化します。ちなみに、継ぎ目のない一本の梁の強さを1としたときに、金輪継ぎや追っ掛け大栓継ぎ・尻ばさみ継などは0.7ぐらいの力を発揮します。機械加工の台持ち蟻継は0.3ぐらいしか持ちませんから、継手としては手間のかかる分優秀な継手だと言えるでしょう。
ノコギリが電動の円ノコに変わってから随分と経ちますが、今の時代に円ノコ使用に反対する人はいません。そんな風に機械加工も世に馴染んでいくでしょう。機械の得意なところはそれで良い。人間は機械が不得意だけれども人間にとって有用な部分をやれば良いのです。機械一辺倒でなく、人と機械の棲み分けがもう少し上手く出来ないか・・・と頭をひねる今日この頃です。
それぞれの楽しみ。
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それぞれの楽しみ。

忙しいときには忙しく、ヒマなときにはあきれるぐらいにヒマで、似たような形態のものに需要が偏るときにはとことん・・・そんな経験はないでしょうか?先日来私の事務所では平屋の住宅ばかりが5件も続いていましたが、今は改装・再生の物件がたて込んでいます。現在工事中のものが1件、設計中のものが2件、計画中のものが2件といった具合です。
新築も改装も再生もそれぞれに面白さがあって、私の中ではどれが一番・・・という格付けはできません。しかし、出来上がったときに住まい手に驚きが大きいのは再生や改装の仕事でしょうか。新築は何もないところから造りますから比べるものがありません。ですが、再生や改装は長年馴染んできた旧来の建物があります・・・それがこんなに変わって・・・そんな驚きです。
諸々の制約が多いのも再生・改装の仕事です。木の色などは特徴的です。当然、旧来のものは黒く、新しいものは白いのですが、不揃いも歴史を物語る要素として受け入れ、新旧の木は色などをあまりそろえないようにしています。
それぞれの物件にそれぞれの良さ・・・建築は楽しい。
イスづくり。
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イスづくり。

日曜日に、和歌山市の木の家工房Mo-kuでイスづくりの体験イベントを開催しました。
木の家・・・という単語は良く耳にするようになりましたが、無垢の木の家と、集成材や新建材の家の区別が良く付いていらっしゃらい方が大半なのが現実です。よくよく写真を眺めてみると、合板がむき出しで使われていたり、構造材が集成材だったり・・・は良くあることです。たくさんの木が見えているかどうかは趣味の問題としても、少なくとも住んでいて清々しい木の家の特性が良く活かされていなければ木の家とは言えないでしょう。
木の特性を理解していただくには、実際に触れてもらうのが一番・・・そんな思いで、無垢の木のイスづくりイベントを開催し始めてからもう10年近くになるでしょうか。過去には一人掛けのイスやそのミニチュア版。背もたれ付の二人掛の長イスなどもありました。このところは涼み台のようなベンチを作ることが多くなっています。
初めて無垢の木や工作道具に触れる方々はとっても上機嫌。建具屋さんの指導よろしきを得て1時間足らずで組み上げていきます。今回の参加者は当事務所ですでに家をお建てになった方が半分、初めて見える方が半分。実際に木の家に住んでいる方々の生の声が聞ける・・・という意味でも、なかなかに面白いイベントだったのではないかと思っています。
イスづくりは年に1回のイベントですが、他に珪藻土の壁塗り体験やシロアリの傾向と対策、木の家完成見学会など・・・年に数回のイベントを開催しています。百聞は一見にしかず、ご興味のある方はのぞいてみて下さい。きっと新しい発見があるはずです。
餅まき。
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餅まき。

春の良き日に上棟式が行われました。今回、他の上棟式とチョッと違ったのは餅まきがあったことです。上棟式で餅まき・・・は一昔前までは普通に行われていたことです。その後は夜通し現場で飲み明かす・・・なんてことは結構ありました。しかし、飲酒運転の取り締まりが厳しくなったこともあって、最近では珍しくなっています。木造住宅の多い当事務所でも、3年に一度ぐらいの確率でしょうか。
餅拾いに集まってくれたご近所さんや子どもたちの歓声、その楽しそうな様子を見ても、餅まきをしている当人たちの晴れやかな顔を見ても、いいもんだなあ~・・・としみじみと思います。建て主はこの行事を行うことでご近所へのデビューを果たす訳です。ご近所としても新しい住民を迎える良いきっかけになる事でしょう。
最近はとかく、コミュニケーション不足が諸々のもめ事の原因になったりします。節目節目を良い機会に、これまで培ってきた良き伝統の意味は考えていきたいものです。ちなみに、私も大小取り混ぜて4つの餅を拾いました。幸せのお裾分けを有難くいただきます。
ケヤキのテーブル天板。
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ケヤキのテーブル天板。

現在建築中の、土間でつながる家の住まい手さんとテーブル天板を探しに行ってきました。今回用意できたのはスギの1枚天板、ヒノキの3枚はぎ、イチョウの2枚はぎ、ケヤキの2枚はぎの4種類。
スギは80センチ幅の1枚もの、厚みは10センチほどもあります。年輪を数えると…だいたい150年生ぐらいの木でしょうか、長さは3メートル50センチほどまでのところでご希望に応じて。ヒノキはそんなに太い木はないので、いいところを取り繕って3枚はぎで仕上げます、厚み4.5センチほど、長さと幅はご希望に応じて。イチョウも2枚はぎで80センチを超える幅が取れます、厚みは6センチほど、長さは1.5メートルほど。ケヤキは2枚はぎ、厚みは3.5センチほど、長さは1.6メートルまで。
迷われた末に、最終的に選ばれたのはケヤキの天板。節もなく美しい表面は、まだ仕上がっていないので全体的に白い印象。部分的に蜜蠟を塗ってみると・・・水のシミみたいに少し色が濃くなっているヶ所がお分かりでしょう・・・それぐらいの色が仕上がり色です。足は、同じ倉庫にたまたまあった桜の板を使用して、板足とすることになりました。
天然木の家具は同じものは二つと有りません。ですから、原木を確認しながらの過程を踏むことが大切です。さて、どんな仕上がりになるのでしょう・・・納品が楽しみです。
Mo-ku通信。
建築の話題

Mo-ku通信。

家を建てたいと思っている方や、すでに当事務所の設計で建ててお住まいの方々と、何らかの形で情報の共有がしたい・・・という思いで起ち上げたMo-ku通信。最初は、何もかもが手探りでした。ざらついた紙に白黒印刷で出発してから9年。その時期の関心事や作品紹介・最近の仕事の様子などを題材に年に3~4回の発行を重ね、とうとう今回でvol32になりました。発行の度にご意見を下さる方もいます。待っていた・・・と歓迎してくれる方もいます。毎回取り置きしているよ・・・と言ってくれる方もいます。そんな皆様の声に助けられてここまでやってこられたことをとても幸せに感じています。
Mo-ku通信はこれまでご縁をいただいた方限定で発行してまいりましたが、この度ホームページをご覧下さった方で、ご希望下さる方にも見ていただこう・・・ということになりました。一度見てみたい・・・と思っていただける方は下記まで「Mo-ku通信希望」と書いてご連絡ください。
https://n-shingo.net/contact/
最近の中村設計・木の家工房Mo-kuの仕事や、木の家で実際に暮らしていらっしゃる住まい手の生の声をお届けします。
家具まで、つくる。
建築の話題

家具まで、つくる。

このところ、紙資料を強化しています。先日の作品集と共に、これまで造ってきた家具の特集「家具まで、つくる。」の小冊子も出来ました。
私の設計する木の家では、キッチンや食器棚、お風呂なども造り付けでいきたい・・・とおっしゃる方が多くおられます。お風呂で3割ほど、キッチンでは4割ほど、食器棚は8割を超えるほどの確率です。最近ではテーブルやイスなども造ることがあります。
それぞれの住まいの様子や使い勝手・家族構成によっていかようにも造れる製作家具は、世界にひとつだけの住まい手のオリジナル。実際に使う方と入念な打ち合わせをして、図面を作り、制作前に再度の打ち合わせをして造り始めます。
この冊子ではキッチンの形式ごとのメリット・デメリットなどを、出来上がった本物の写真を参考に解説しています。色々な方に色々な製作家具・・・正解は住まい手の数だけあるようです。
冊子ご希望の方は、下記のアドレスまでお申し込み下さい。
https://n-shingo.net/contact/
問い合わせ欄の一番下に「家具まで、つくる。」希望、と書き込みいただければお送りします。