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紀の川市 改装工事が出来上がります。

紀の川市で住宅の改装工事が出来上がります。

これは改装前の写真。写真の部屋はダイニングキッチン。この部屋と手前のタタミ間、それに正面壁のむこうにある水廻りを一体にして、新しい間取りにします。まだまだ使えそうなシステムキッチンや家具が並んでいるので、ちょっともったいない気もします。

しかし、実は正面壁の向こうが南側、太陽光が期待できる南側に水廻りが並んでいて、家族の憩いの場となるべきこのスペースに大きな開口がなく閉鎖的なことなどが気になって、手前のタタミ間に水廻りを移動して、現在の水廻りスペースは写真のダイニングキッチンと合体させ、南向きの大開口を持つLDKとすることになりました。

もう一つの大きな変更は、事前調査で天井裏に潜った時に感心した、しっかりと見事に組まれた丸太梁を空間意匠に生かす工夫です。屋根形状も複雑だったので、梁下でまっすぐの天井はやめて、屋根形状のままのいろいろな傾斜の楽し気な天井に仕上がっています。

壁を抜くということは、同時にその壁の中にあった柱も抜いてしまう・・・ということにもなりますので、改装時にはその辺の対応が必要です。今回は部屋の中央近くで要の丸太梁を受ける柱を残し、その柱に添え柱を追加して、他の丸太梁を受ける補強の梁を入れました。新しい柱・梁と既存の柱・梁は、節に似た丸座金やDボルトなどを利用して目立たないように緊結します。

耐震補強も万全です。新しい筋交いなどでの補強はもちろん、金物の使われていなかった既存の筋交い類も新たに金物を取り付けて補強しています。

床は無垢の唐松の縁甲板張り。針葉樹である松の床は足裏にも優しく暖かい床材、仕上げは蜜蝋ワックスです。もちろん床下にはしっかりと断熱層を仕込んでいます。壁には湿気の調整に優れ断熱・脱臭などの役目も果たす珪藻土を塗りました。天井は土佐和紙貼りです。天然素材で造られたこの空間は、湿気の調整を良くし、蒸し暑い日にも清々しい室内を提供してくれることだと思います。

大空間は冷房よりも煖房が心配になります。高い天井や吹き抜けの部屋は寒いんじゃないの・・・とよく言われます。大空間造りにはそうならないための工夫や熱源が必要になります。このお家は住まい手が特に吟味して用意されたペレットストーブで暖められます。

出来上がったばかりの、今はまだ寒そうなこの空間が、暖かさと笑顔で満たされ、ご家族が末永く快適に幸せに過ごせることを願っています。