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木組みの床は怪我を少なくさせる。

木材は多孔質な組織構造で、衝撃が加わると組織がつぶれたり、たわんだ後に元に戻ったりします。これらの性質により、衝撃エネルギーは消費され、跳ね返ってくる力は加えられた衝撃力より弱くなります。木材は衝撃力を緩和させる効果がある材料です。
建物の木造床では、衝撃緩和効果は床板の樹種や厚さ、下地の材料・構造によって異なります。検証のために、特別養護老人ホームを対象としてアンケート調査が行われました。それによると、床板の下に根太・二重床・その他を施工した「直貼り」以外の床では、転倒や転倒による骨折事故が、床板をコンクリートの床に「直貼り」した場合の2/3であったことが確認されました。これは、根太組の床にすると衝撃力が加わったときに床がたわみ、衝撃力が緩和されるためだと考えられます。
別の実験では、コンクリートに床板を直貼りした床では、小規模の木造建築物の木組みの床に対して、転倒時の頭部へ2倍もの衝撃が加わることが測定されています。この実験では同時に、クッションフロアやラバー付のフローリングなどのやわらかい素材を直貼りした場合の測定も行っていますが、木組みの床程の良好な結果は得られていません。以上のことから、木の床板を張った木組みの床は、衝撃緩和効果の高い安全な床であることが分かります。
下地は、直貼り床よりは木組み床。仕上げは、新建材のフローリングなどよりは無垢の床板。無垢の床板の中では、硬い広葉樹よりもやわらかい針葉樹・・・の順に安全・安心な床の造りとなると言えるでしょう。