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古民家再生の“まえ”と“あと” ~古民家の改修 / 和歌山市~

築50年を経て、2度目の改修をすることになった母屋。

前回のリフォーム以降、水廻りと仏間のある場所として、ご家族はほぼ滞在しないスペースになっていました。

「明るくしたい」「冬の冷え込みをなんとかしたい」「格式ある仏間の雰囲気を、子育て世代のLDKらしいナチュラルな木の空間に変えたい」とのご要望でした。

 

「古民家の改修 / 和歌山市」の再生点


(Mo-ku通信vol’40)

再生の“まえ”と“あと”

同じ場所の写真をビフォー&アフターでみてみましょう!

【デザインの更新】

外観

状態の良い部分と、傷みの激しい部分を丁寧に判別しました。

まだ使える部分は可能な限り保存しています。

団欒の場として家の中心になるLDKには、木製の大開口を造りつけました。左の個室はガラスと雨戸の鏡板を新調し、既存のサッシを生かしつつ断熱性能は向上させ、隣の

木製大開口と見た目も馴染むよう配慮しました。デッキを新設することで、各居室から直に外へ出て行けるようになり、庭とのつながりもよくなりました。

 

【ライフスタイルの反映】

屋内の一新と、断熱・調湿の性能向上

同じ空間を同じ方向から撮った写真です。

個室に区切られていた屋内を、子育て世代が一体感をもって暮らしやすいのびのびとした間取りに変更しました。

前回のリフォームで施工された新建材を取り去り、壁・床・天井に可能な限りの断熱と耐震の備えをほどこした上で、天然素材で内装しました。

大きな開口部から陽と風をとりこみ、爽やか空間が実現しました。

寒さ・暑さにそなえる断熱性能と調湿の性能も格段に向上しました。

 

【構造体の補強・設備の刷新】

床下と構造材の手入れ、設備類の一新

床下は、ブロックの上に柱をのせているのみで固定されていませんでした。

今回は土間コンクリートを打設し、床下からの湿気の上がりを止め、構造体の強度も可能な限り引き上げました。

トイレや浴室など水廻りも一式新調。給排水の配管もヘッダ管方式であらたに施工しました。

電気設備も配線から一式やり替え、現代の使用にたえる機能性とメンテナンス性をもたせました。

 

建物には、経年劣化などで建物が傷んでしまい壊れてしまうハード面での寿命と、時代や世代の価値観についていけなくなることで実用できなくなってしまうソフト面での寿命があるといわれます。

改修では、単に見た目を変えるだけでなく、ハード面でも現役で役目をまっとうできる時間を伸ばせます。

構造体を健全に再生し、性能面や設備の不足を建物に合った方法で補います。

昔ながらの古民家の骨組みをもつ木の家には、暮らす家族の個性やライフスタイルに寄り添い、多様な変化を許容できる柔軟性があります。愛情と手間をそそぐことで、住まいはよみがえります。