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ひと踏ん張りのいるところ。
建築の話題

ひと踏ん張りのいるところ。

ちゃんとした木の家を造っていくには設計以外にも大事なことがあります。それは、仲間づくりです。
現在の木材流通から天然乾燥材を用意することは難しくなりました。在庫を持たないことが経済的に有利であるのは自明の理・・・場所を用意して、時間を掛けて天然乾燥材を供給する製材所がいなくなったのです。土塗り壁を施工する職人も、竹や土を在庫する業者も絶滅危惧種です。無垢の木で木製建具を製作出来る建具屋が減り、木使いに精通した大工も、湿式の壁を見事に仕上げる左官も、あらわし構法の家の設備を的確に施工する技術者も少なくなりました。街中や雑誌でお気に入りの木の家を見つけても、いざ建とうと思うと簡単には実現出来ないのが現実です。
つまり、木の家づくりにはしっかりとした技術を受け継いだ、お互いの意思疎通が出来る業者仲間や職人仲間のグループ(木の家づくりのためのシステム)が必要だということです。
いずれの職能も材料も、今となっては時代に取り残された感がある分野ですが、例えそうでもここはひと踏ん張りして体制(仲間)づくり・・・この踏ん張りがちゃんとした木の家を提供するための必要条件です。
変えるところと、変えないところ。
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変えるところと、変えないところ。

本日は朝から雑誌取材を受けました。火災に対する法規の厳しい街中でどうして木の家が出来るのですか?・・・と言うご質問。肝になるのは土塗り壁と厚板です。
土を壁の中に塗り込んでおくと火に強い家が出来ます。軒なども厚板を使って造ると防火上有効です。昔ながらの民家型工法で太い木材を使い、竹小舞の土塗り壁構法を採用すると、街中でも木の家は出来るのです。同時に、たくさんの木や土塗り壁を採用すると現代住宅で忘れ去られた蓄熱・調湿の性能にも大きな効果があるので、暑さ寒さや湿気に負けない清々しい空間が造れます・・・これらは変えなくて良いところ。
ところが、断熱・気密の性能などは昔ながらの木の家では圧倒的に不足します。ですから、しっかりとした断熱工事や湿気が部屋内に滞らない工夫を凝らした気密工事を施すことや、現代の生活ニーズに応じた間取りや内外観の意匠などは変えたいところ。
変えるところと変えないところをちゃんと認識した設計が住まい心地の良い家を造るためには必要です。
家づくり教室を開催しました。
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家づくり教室を開催しました。

昨日、和歌山市の木の家工房Mo-kuで家づくり教室、木の家について考える(紀州材のベンチづくり)を開催しました。
事務所では完成見学会も含めて年間数回のイベントをしますが、イスづくりや土壁(珪藻土)塗りなどの参加者自らが作業するイベントは毎回好評をいただいています。
イスづくりの講師先生は、私の家づくりには欠かせない木製の建具・家具を造ってくれる中西建具の社長さん。使用するのは桧材。いつもながら見事な材料・・・実際に家の建具に使われる材料ですからそれも当然です。基本加工はすでにしてくれているので、現場では組み立てが主な仕事。本職の正確なほぞ穴の精度に驚き、苦労しながらの作業です。大事な部分は基本的に釘などは使いません。接着剤を併用しながら組み上げます。
まずは実際に木に触れる・・・気長にそこのところから木の家のことが分かっていただけたらと思っています。
当日は、木の家で建てることのメリット・デメリットなどと共に、パッシブな温熱環境の作り方などを日影解析ソフトを使って説明・・・皆さんとても熱心に聞いてくれました。参考にして良い家を造ってください・・・ああ、その折にはパートナーとして中村設計のこともお忘れなく。
竹小舞・土塗り壁の家 撮影させていただきました。
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竹小舞・土塗り壁の家 撮影させていただきました。

今季三件目となる、竹小舞・土塗り壁の家の撮影をさせていただきました。
この家は住まい手の強い思いに助けられて、竹小舞・土塗り壁にはじまり、家を構成する全ての材料が木・土・石・紙などの天然素材で出来ています。内部造作も造り付けのキッチンに始まり、桧の浴槽、薪ストーブ、吹き抜けの大空間とどこもかしこも特徴的・・・天井面に吊したプロジェクター、上げ下げする大スクリーンと数えると切りがないほどの個性が詰まったお住まいです。
2013年の秋に竣工したお家ですから,早いもので4年半・・・住まい心地を尋ねてみると、快適だ・・・とのこと。特に土塗り壁の恩恵は大きく、薪ストーブの効果を最大限に活かせているようで、冬はとっても暖かい・・・というご感想。梅雨時に湿気に困ることもなく、夏には炎天下の屋外から帰った途端にヒヤッと涼しい空気が迎えてくれる・・・のだとか。桧の浴槽やプロジェクター設備も特殊扱いではなく日常使い。毎日この住まいを満喫していただいているようです。
さて・・・諸々のご感想(住まい心地)をお伝えできるような写真が撮れているでしょうか・・・結果は発表を楽しみにしていただくしかありません。これで今年の予定の三件は写真を撮り終えました。ひとまずホッとしたところです。
ケヤキ天板テーブルが出来ました。
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ケヤキ天板テーブルが出来ました。

龍神の山本製材で手に入れたケヤキ板を天板にしたテーブルが、中西建具の手で見事に出来上がり、このほど納品されました。
天板はもちろん、足や貫に至るまで無垢のケヤキ板。さらには、一緒に造ったベンチもケヤキ製(足まで)・・・まさにケヤキずくしのテーブルセットになってしまいました。
針葉樹に比べて広葉樹はどれも癖が強くて頑固(硬い)なのが一般的。見た目はきれいに出来ていても実際の細工ではなかなかに骨が折れたようです。削っても削ってもひねりが出る、大変だ!・・・と言うのは制作者の中西さん。しかし、ご苦労のおかげで良いものが出来ました。
色が白く感じるのは着色をしていないため・・・でも、この木に着色するのはやめました。後は蜜蠟ワックスで仕上げるのみ・・・それで充分だと思います。ケヤキの板は蜜蠟をよく吸うのだとのこと。ワックス掛けは住まい手の役目、少し大変かもしれませんが根気に頑張ってみて下さい、美しい杢目が出て来ますよ・・・出来上がりを楽しみにしています。
こんなに薪が!
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こんなに薪が!

暖房器具で、使ってみて一番満足度の高い器具は薪ストーブです。しかし、単なる暖房器具として薪ストーブを評価してみると、高評価には首をかしげざるを得ません。薪を調達して、適寸に切って、乾かして・・・とかくに薪の段取りは大変です。満足度が高いのは、薪ストーブのある暮らしぶりそのものに価値を見いだしているからに他なりません。つまり趣味が半分手伝っている・・・ということです。
そんなお宅でもやはり難儀しているのが薪の確保・・・ところが、先日写真を撮らせていただいた通り土間の家では隣の空き地に我が目を疑うほどに積み上げられた薪・まき・マキ・・・写真のような列がまだ3列ほど。こんなにあったら数年は困らないでしょう・・・と言うほどの量。
実はご実家の近くで道路工事があったとかで、その時に出た木なのだそうです。工事中に出てくる木は産業廃棄物として処分しなければなりません。そのための費用も結構にかかるでしょう。誰かが引き取って役立ててくれれば工事費は安く付く、引き取った方では燃料費が助かる、さらに環境循環にも寄与する・・・となると良いことずくめで八方丸く収まります。
いやあ~しかし、あるところにはあるものです。
通り土間の家、撮影させていただきました。
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通り土間の家、撮影させていただきました。

今季、2件目の撮影は通り土間の家です。
連日の晴天続き、大きな土間の引き戸を開け放しにしてももうそんなに寒くはありません。絶好の撮影日和に助けられて順調に撮り進めることが出来ました。
ご主人も奥様も、ご実家は土間のある民家です。ご夫婦の原体験の中にある土間を間取りに取り込んで、つながりの良い中と外を縦横に行き来しながら空間を楽しみたい・・・そんなご希望を実現した住まいです。洗面も居間も食堂も台所も、畳間までもが南に設けられた土間からのアプローチ。要の土間には薪ストーブが据わり、ここを中心に住まい手の生活が展開されていきます。
カメラマンの細かい注文に、文句1つ言わずにお付き合いいただいたご家族の皆様、誠にありがとうございます・・・はなちゃんありがとうね、良い写真が出来たら送るね。
ケヤキ天板のテーブルが出来つつあります。
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ケヤキ天板のテーブルが出来つつあります。

以前にご紹介した家具天板用のケヤキ板を使ったテーブルが出来つつあります。
ひとつは継ぎなしの全くの一枚板、もうひとつは二枚の板をはいで(つなぎ合わせて)造ったテーブル天板。品選びで原板を見た時にはカンナを掛ける前だったので分かりにくかったのですが、どちらも見事な杢目。やっとケヤキらしい目や色が見えるようになりました。
足は天板製作で残った部分を利用して板足にします。よく見かける四本足よりはドッシリと落ち着いた、より無垢の木で造った感・・・が際立つテーブルになると思います。家具店で売っている品物のようにクリア塗装をしてしまったのでは無垢の良さは半減しますので、仕上げは蜜蠟ワックス塗りです。
2台共に今月末までの納品に合わせて職人は大忙し・・・何とか間に合うことを祈っています。
里山の家 写真撮影。
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里山の家 写真撮影。

和歌山市にある里山の家の写真撮影をさせていただきました。
毎年何軒か特徴的なお家を撮らしてもらっています。カメラマンは照井さんです。
街中よりも山村風景の残る土地を希望された住まい手にピッタリの敷地。何年も探して見つからなかったのに、この敷地は初見で気に入られた様子でした。
そこに、地面や風景と馴染みの良い木のお家・・・あちこちのモデルハウスを見て回っても実現できそうになかった夢が結実したお家です。
里山に向かう開口は、間口3間の木製の引き込み戸。フルオープンにすると庭とお部屋が一体につながります。床やデッキに腰掛けて子ども達と遊んだり、里山の風景を楽しんだり・・・使い方は色々です。
久々に訪ねてみると、室内に諸々の工夫があるばかりでなく、玄関アプローチに庭に住まい手の工夫があふれていました。なんと、庭の片隅には自作の物置まで・・・製作途中だとのことで、外壁には試し塗りのモルタルの後がありました。そう、生活実感に根ざした手が入ってこそ住まいに愛着が生まれるものです。大いに我が家を楽しんでもらいたいものです。
今年は後2件の撮影を予定しています。時期が来ればMo-ku通信やホームページで発表させていただこうと思っています・・・お楽しみに。
講師先生をしてきました。
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講師先生をしてきました。

先日、県の林業大学校で講師先生をしてきました。
木造建築の基本と木材利用の概要(地域性を活かした木造建築へのアプローチ)というタイトルのお話し。午前中に座学で3時間、午後に木の家の現場見学で1時間ほど。
参加者はみんな就業先も決まっていて真剣そのもの。これまでお声掛けいただいて行った研修の中では有数の充実度だったように感じました。しっかり聞いてくれると、やっている方もつい力が入ってきます。質問も具体的で現実味のあるもの・・・あまり他所では言わないような本音もあちこちにちりばめての回答です。
いろんな所から時々この手の研修講師の依頼があります。何とか、山と街を設計という職能を通じてつないでいきたい。そうすることが地域の経済循環の上でも環境循環の上でも役立つ・・・そんな思いがあるものですから、できるだけ引き受けるようにしています。
おかげさまで私にとっても充実した楽しい時間となりました。機会をいただけたことに感謝します。