府中の家 外観を整える。

計画案4で、最初に素直にイメージできたのがこの外観。
南西側の道路から見たところ、一番見られるであろう角度のパース(完成予想図)です。屋根形状は切妻、外観の形状に合わせて屋根形状も素直に変化させています。この時点では、玄関ポーチに至るアプローチの木組みの上には屋根を乗せています。4メートルほどのアプローチをゆっくりした段差で玄関に至る計画です。
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▲府中の家 外観の検討 1
しかし、問題が三つ。一つは、大屋根の形が南側であまりにも凸凹になりすぎないか?二つめは、越し屋根風の段違い屋根が(このパースでは見え難いのですが)複雑すぎてコスト高を招かないか?三つめは、雁木部分の屋根がこのままでは強風時に風を受けすぎないか?というもの。
さて、これらの問題を解決しつつ、外観を整えていきます。
・外観を考える Part 2。
Part 1の反省を踏まえ、製作してみたのがこの外観です。
風を受けすぎる東の雁木部分の軒先は、南側で折り曲げることで解決できそうです。南で凸凹すぎる屋根形状は、ロフト部分をポーチ上まで張り出し屋根を大きくすることで少しはスッキリします。玄関廻りはこれでだいたい解決出来てきたみたいですが、ロフトやランマ窓を取るために東西の桁高さを違えて、全体に複雑にしてしまった屋根形状は直っていません。
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▲府中の家 外観の検討 2
しっかりと外観を検討するには、丁寧に条件を打ち込んで、都度都度に色々な方向から眺めてみることが出来る状況が創れればありがたい。しかし、こんなに何回も360度からの見栄えを検討していこうと思ったら作業する方はそりゃあもう大変。大変そうな担当者を尻目に、もっとこうすれば、もっとこっちの角度から、いっそこの部分をこうして・・・と私が食い下がるものだから、このところ担当スタッフの顔色が冴えません。
・外観を考える Part 3。
あれから幾つもの外観を検討しているうちに出て来たのがこのプラン。
大屋根の内、これまで南と北の2ヶ所の個室にロフトを取るために屋根が高くなり、越し屋根部分がフタコブラクダのようになって、大屋根形状を複雑にしていたのですが、屋根の単純化(減額にもなります)のため、北側のコブ(建物奥のコブ)は室内のロフトはそのままに梁組の工夫で屋根への影響を無くしました。少しのことですが、いくばくかスッキリしたように感じます。
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▲府中の家 外観の検討 3
やってみたいことはたくさんあります。さりとて現実には予算の縛りがあって・・・このへんのところは毎回経験する、悩めるクライアントさんの心情を追体験しています・・・さて、どうしよう。
・外観を考える Part 4。
建物に駐車場を取り込んだ大きな玄関庇(屋根)は残したままに。梁組の工夫で個室のロフト(2ヶ所)は屋根の下に取り込み、ラクダのコブのような越し屋根を無くして、大屋根を最大限に単純化したプランです。
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▲府中の家 外観の検討 4
一部には、南東の角で屋根を折り曲げてしまったので、なんだか和風に感じる・・・と言う意見もあります。しかし、やっぱり気になるのが雨仕舞いと工事費です。こうすれば、少なくとも梁組や屋根葺きにかかる費用は、これまでのプランの中では一番リーズナブルに仕上げることが出来ます。
ここまで来て、気になってきたのが西側の外観です。屋根をあまり単純にしすぎたために、西側から見ると全体に倉庫のように見えないか・・・というところです。さて、解決策は。
・外観を考える Part 5。
元々、東や南側には大きな開口部(窓)が付くことも多く、見た目に変化があって楽しげな外観になることが多いのですが、西や北側は西日を遮ったり北風を防いだりするのに開口部が小さくなり、見栄えも単調になりがちです。
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▲府中の家 外観最終案
もうひとつ、玄関先の駐車場を兼ねていた大きな庇(屋根)・・・これほんとうに必要なんだろうか・・・と思い始めて。大きな庇を無くして、木製フレームにアルミの庇を差し込んだとても簡素なアプローチ庇を計画してみました。屋根形状が全体にスッキリとして、もちろん工事費は節約できます。必要とあらば、このアルミ庇の前に後々アルミのカーポートでも付けるか・・・こちらの方が合理的かも。
そして、このパースには描かれていませんが、最終的に居間に設置することに決めた薪ストーブの煙突が、長い切妻屋根の奥行きの中程・道側に付きます。どこのお家も屋根の上に煙突が出ると随分と印象が違って見えますから、この煙突が単調な外観に変化を与えてくれることを期待しています。