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木の家は、工夫次第で長寿命。

住宅は長く現役であってこそ資産。ローンを払い終わってすぐ寿命を迎えるようでは、ただの「負債」で、財産とは言えません。日本の住宅の平均耐用年数は30年を切る、先進国で有数の短寿命です。これは、柱・梁組(基本軸組)の貧弱さと、住継ぐこと(増改築)への対応不足が大きな原因だと思われます。
世代ごとに手直しをしながら、家族のアイデンティティと共に親から子へと受け継げる住まいを造るには、構造安定性が高く高耐久で経済的な上、間取りの変更が容易な基本軸組が必要です。古民家と呼ばれる日本古来の住宅を思い出してみてください。間取りの中心には大黒柱と呼ばれる大きな柱が立っていて、その上には太い丸太が架かっていました。柱や梁は長辺2間のグリッドで規則正しく組み上げられ、耐久性や可変性に富んでいました。
木造住宅の基本構造は、コンクリート造や鉄骨造と同じです。コンクリート造や鉄骨造では柱と梁が好き勝手に食い違っている建物を見ることはありません。なのに、木造住宅では何故こんなに基本的なことがないがしろにされてきたのか不思議です。そこに木造住宅の短寿命の秘密があります。
古民家に学び、柱・梁組(基本軸組)は理屈通りに組み、しっかりとした基本軸組に耐震・耐風の性能、断熱・気密の性能、劣化対応の性能を付加した建物こそが今必要とされる建物だと言えるでしょう。