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木の家工房Mo-ku WEB内覧会 玄関ポーチと土間ギャラリー
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木の家工房Mo-Kuは和歌山・大阪を中心に無垢の木・土・石・紙といった自然素材を生かした木の家の設計監理、古民家の再生・リノベーションの仕事を展開する中村伸吾建築設計室の、本物の木の家を体感していただくためのギャラリーです。今回は木の家工房Mo-Kuの玄関アプローチと土間ギャラリーについてご紹介します。
・玄関アプローチは金錆砂利洗い出し仕上げ
細かな石粒が一面に並ぶように見える玄関アプローチの土間は『金錆砂利洗い出し仕上』を採用しています。洗い出しという施工方法は骨材(石粒)とセメントを混ぜた材料を塗り施工した後に、表面を濡らしたスポンジのようなもので軽くこすり、表層のセメント分を拭き取って石の素材感を際立たせる施工方法です。表面に写真のような細かな石粒があらわれてくるので、仕上げ表面の表情が豊かになるだけでなくすべり止めの役割も果たします。
『金錆砂利洗い出し仕上』は、石と色のついたセメントの組み合わせで、いくつかのサンプルの中から選んで頂くことができます。石の大きさや色、ベースとなるセメントの色などの組み合わせによりたくさんの表現が可能ですので、建築材料としては使い勝手の良い面白い仕上げ材だと言えるでしょう。Mo-kuの玄関アプローチでは、黄色い小さめの御影の石粒と薄いピンクがかった肌色に近いベース色のものを採用しました。
洗い出しという施工方法は通常のコンクリートの表面などの仕上げに採用する場合もあり、その場合は『コンクリート洗い出し仕上』となります。表面にはコンクリートの骨材がそのまま露出することになりますので、砂利が専用の洗い出し用のものとは異なり少し大きいため、迫力のある荒めの仕上となります。中村設計では外構工事において、駐車場のコンクリート土間の表面などに使用することがあります。
・土間ギャラリ-
玄関アプローチに続いて、室内をご紹介していきます。
木の家工房Mo-kuにおいでいただいたときに、最初にお迎えするのが土間ギャラリーです。ここでは日常的な打ち合わせなどと共に、色々なイベントの開催もします。以前に、シリーズで開催していた家づくり教室などもここで開催されていました。通常は作品パネルや中村設計でよく使う材料などの展示スペースになっています。
ギャラリーの床は中央部のタイル貼り部分と周辺部の洗い出し部分で構成されています。この床にはタイルの下地として30センチほどのコンクリートの蓄熱層が用意されていて、深夜電力型の蓄熱床暖房が仕込まれています。冬場には土間独特の底冷えが無いばかりでなく、足元からほっこりと自然な暖かみが感じられて好評を頂いています。壁は珪藻土塗り、天井は玄関ポーチ天井と同じようにJパネルをあらわしで張って着色しています。
・床仕上げ
床に貼っているのはテラコッタ風のタイル。あまりきっちりと焼き上がっているものではなく、端部の処理は多少ラフな仕上げになっています。赤を基調にしていますが、一つの色では床面が単調になりますので、濃淡三色を2:1:1の割合で混ぜて、ランダムに張りました。目地はグレーです。平面に対して斜め張りとして少し躍動感が感じられるようにしています。
タイル周辺部に使っているのは金錆砂利の洗い出し仕上げ。玄関ポーチとギャラリーを一体に使ったりするときに違和感がないように、ポーチと全く同じ石とベースのものを使いました。あまり広いギャラリーではありませんので、外部と内部という違いはあっても、続きの空間を同じ様な仕上げにした方がひろびろ感は得やすいと思います。
金錆砂利洗い出しとタイルの間は真鍮の目地を埋め込み、見切っています。金属目地にはアルミ・ステンレス・樹脂などたくさんの種類や色がありますが、真鍮で製作されたものはとりわけ赤味のタイル色や木や石の色と相性が良く、よく使用する材料です。ステンレスのように、いつまでも新しい色で輝いているわけではありません。しかし、廻りの材料と共に自然に経年変化していく材料の方が自然素材の家には馴染むように思います。
・壁は硅藻土塗り
土間ギャラリーの壁は珪藻土塗りです。珪藻土の仕上げにはたくさんの仕上げと色があります。何もアレンジしていないものは白っぽい色合いで漆喰のように滑らかで平滑な仕上がりとなります。しかし、珪藻土は土ですから、素材にワラやスサを加え、さらには大理石の小さな石も練り込んで、表面仕上げもコテのムラが出るように工夫して土の質感が良く感じられるように仕上げました。
自然素材はそれぞれに独特な表情を持っています。土や石などは厚み表現でその本物感が際立ちます。ですから塗り方にもそれなりの工夫をします。通常、サッシなどの開口部には木製の額縁と呼ばれる枠が入ります。壁仕上げはその額縁に突き当たる形で止まって仕上がるのですが、それでは平面的で厚み表現が充分とは言えません。そこで、横の額縁(枠)はそのままに、タテ枠を取り払って、枠の代わりに珪藻土で壁厚の150ミリほどをそのまま塗り込んで仕上げます。塗り仕上げるときにコーナーをやわらかいR(曲線)で仕上げるとさらに視覚的に塗り厚が感じられ、土としての存在感が増していきます。
珪藻土は調湿性能の高い材料です。そして、その性能は珪藻土の量(体積)にある程度比例します。つまり、同じ面積の珪藻土壁でも、塗り厚が厚い方が調湿性能が高いわけです。通常、プラスターボードの下地に珪藻土を塗り仕上げると4ミリほどの厚みに仕上りますが、Mo-kuでは下地材をプラスターボードから左官の湿式工事の専用下地材であるラスボードに変えて15ミリの塗り厚を確保しています。その分調湿性能も高いというわけです。
・木製建具
土間ギャラリーの入り口と、向かい合う側の壁には大きな木製の引き込み戸を設えました。ガラス戸と網戸と雨戸の3枚で構成されるこの戸は完全に壁内に引き込む伊事が出来ますので、締めていればもちろん屋内使いの部屋になりますが、両側を開け放てば外部の土間と一体になり、屋外のような空間になります。
夏期、冬期ともによく使用するのが、ガラス戸を閉めた状態です。Mo-kuは床が土間となっており、外部との段差をあまり付けない設計にしているので框が見えていますが、住宅で木製掃き出し窓を採用する場合には上下左右の框を見えないように『隠し框』の納まりを採用することが多いので、このようにガラス戸を締めた状態ではガラスだけが開口部に残っていることになり、視覚的には全解放に近い見栄えになります。
春や秋によく使用するのが、この半分(もしくは全体)を網戸とした状態です。写真左側の扉が網戸、写真右側の扉がガラス戸となっており、十分な自然換気量を確保します。網戸は通常のサッシの網戸よりも大きくなることが多いため、強度と見た目を勘案し、ステンレス製の網戸を採用しています。
最後は家を空ける際などに使用するガラス戸と雨戸を閉じた状態です。台風時や戸締まりの際にも同じ様に両方を閉じます。夏などに外部からの視線を防ぎながら風を通したい時には、雨戸を閉めた状態で内側の戸を網戸とします。また、寝苦しい夏の夜に夜風を感じながら眠りにつきたいときなどにも、同じ様に雨戸を閉めた網戸にしガラス戸を開けておくことが出来ます。雨戸にはしっかりと鍵がかかりますので防犯上の心配もありません。
日差しが強いときには雨戸の間から室内にきれいな日差しが差し込みます。この日差しの差し込みについては、入居後に気づかれることが多いらしく、後日、写真撮影に伺った折には、「この日差しの差し込みがお気に入りだから、写真に撮っておいてほしい。」との要望を伺うことがあります。雨戸から漏れる木漏れ日を美しいと思う感覚は、日本古来から日本人の心に脈々と受け継がれた記憶のようなものなのかも知れません。
・照明器具
土間ギャラリーの中心となる照明器具は、両側耳付き(丸みを残している)の桧の30ミリ厚の板に、5コのダウンライトを埋め込む形で製作しました。ベースの桧板を無理に成形せず、耳付きで残したことで自然な柔らかみが表現出来たと思います。板類の、耳を残してやわらかい雰囲気に・・・という手法は他の造り付け家具などにも共通する手法です。
照明器具選びは既製品を基本としますが、空間の性質や得たい雰囲気によって製作をします。特に、食堂などの大きなテーブルの上に付く照明では、必要照度・器具高さなどの関係から特別製作するものが多いように思います。ギャラリーでは、設置されている大きなテーブルに合わせて5コもの器具が入っています。しかし、いつも全ての器具を点灯させているわけではなくて、時々に応じた必要照度に見合った個数を点灯させます。照明器具はその場の雰囲気を支配してしまうほどの影響力を持つ要素ですから、できる限りの工夫はしたいと思っています。
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