本文までスキップする

読みもの
Article

のぞみ園生活介護施設 大工工事と防火の考え方

屋内では大工工事が進んでいます。現在は間仕切りの下地と共に開口部の敷居・鴨居などの造作工事も行われています。

造作工事を進めるにあたっては、都度に施工図を描いてもらって、まずは施工図チェックから。現場は施工図面の承認がなければ前に進めませんから、チェックする方にもスピードが求められます。現時点で100枚を超える施工図面の詳細の逐一に付き、すべてのチェック・判断をしていくのはたとえ設計図を描いた本人とはいえ大変なエネルギーを要します。

納まりや詳細の決定が難しいのは、意匠上の事柄ばかりでなく法規上の事柄も複雑に絡むからです。特に気にしておかなければならないのは防火や避難にかかわるところ。間仕切り壁の下地にもファイヤーストップと呼ばれる、防火上有効な壁が短時間で燃え抜けないような手立てがされています。現場確認ではそんなところを重点的に見ていきます。

余談になりますが、木造と非木造(鉄骨・コンクリート造)との火災被害の考え方について少しお話しします。木は燃えるから危険、非木造は燃えないから安全・・・と思われている方が多いようですが、一概にそうとは言えません。火災時における人的被害の大小は火災初期の避難状況によって決まることが多いからです。

木造建築物は最終的に燃えますが、本格的に燃え始める前に避難が出来れば人的被害は少ないわけです。逆に、非木造の建物は燃えませんが、初期非難がうまくいかない場合には被害は大きくなります。現在の建築基準法の規定もそのような考え方に基づいています。

つまり、たとえ最終的には燃えてしまう木造建築物でも、初期非難に有効な数十分のうちに、有毒ガスなどを出さず延焼を防げる仕組みがちゃんとあって初期非難の時間を確保できれば、火災での人的被害は少ない・・・という訳です。もちろんこの建物も木造ですがそんな仕組みになっています。

床下地も出来始めています。この建物では運営上の要求から床仕上げは長尺塩ビシートが仕上げ材として選ばれていますので、下地は構造用合板です。床からの湿気調整が出来ない分、天井や壁仕上げなどの調湿性能は高く保たれ、その分を補っています。