読みものArticle
古民家再生 大阪府堺市 床下通気
- カテゴリ
床をめくって床下をつぶさに調査してみると、湿気の状態や部材の樹種などの違いによって、それぞれにどんな年月の過ごし方をしてきたのかがよく分かる。
上の写真は大黒柱の下部。基礎には当時としては珍しく、一般の土間からは少し高く盛り上げたところにコンクリート基礎が打設されていている。床(土間)が高くなっているから湿気の影響を受けにくく、柱の素材が水に強い松材であったこともあって、腐りは全く見られない。
下の写真は大引きを受けている束。大黒柱のしっかりとしたコンクリート基礎とは違って、少しくぼんだところに自然石を束石代わりに建てられている、束の材質は杉である。湿気の多いヶ所に杉材の束であるから、腐りの具合は過ごしてきた年月相応である。
これらの部材は今回の再生工事で一式取り替えることにする。地面に土を入れて高さを整え、束石はコンクリート束として地面からの距離を稼ぎ、束は調整の効く鋼製束とする。大引き・根太もこの際に新しいものに替える。
土台長押(敷居)の下部の部分は、建築当時は外壁の下部であり、雨水の侵入を防ぐために、必要があって壁とされたものであるが、後に縁側が増築された折そのままにされたために、通風の妨げとなり、床下の湿度環境を悪化させていたのであろう。
木材や工法で湿気に対する対応・処置はするとして、根本的に通風を確保し床下の乾燥を確保しなければならないので、この土壁は今回取り払って金網張りとし、床下に大きな給気口を設ける。外部には縁側が乗っているので雨水進入の心配は少ない。
- カテゴリ