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古民家再生 大阪府堺市 新しい軸組

解体工事の傍らで新しく構造体が組み上げられていく。まずは床組み、次に間仕切り。写真は玄関を入ったところの突き当りにある水廻り部分の様子である。

新しく柱が入るところは、荷重が集中する壁の取り合い部分の柱下にコンクリートの束を用意して柱を落とす。その他の柱下は後で調整の効く鋼製の束建てである。

既存建物に使われている木材の多くは松材であるが、国内には一般に流通するほど松の構造材は多くない。特に近畿にはほとんどない。なので、新しい木材は良質材が豊富にある桧材を中心とした。

既存建物に使われている木材は床下の材料を除きとても状態が良かったので、できる限り再使用する。下の写真中央に写っている右の小黒柱に取り付く梁は、50センチほど手前(丸太梁に跡のあるところ)で丸太梁を支えていた既存の梁である。それを丁寧に外して移動させて再使用した。

長くこの家を支えてきた材料であるから、使えるものは使う・・・が基本であるが、あまりにそのことにこだわりすぎると、材料費は安くなっても職人の手間賃が高くなるので、再使用するものと新しくするもののメリハリが必要になる。潤沢な費用で臨む公共物の保存工事と違い、民間工事の判断の難しいところであろうかと思う。