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人類の起源 ホモサピエンスの「大いなる旅路」
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人類の起源や日本人はどこから来たのか・・・なんてことには興味ないですか?私はこの手の話が好きで・・・でも、自分で本を買うことはなく、すべて本好きの長男が見つけて買ってきてくれます。
今回もらったのは篠田謙一先生の「人類の起源」という本。ここ10年ほどで古人骨の詳細なDNA解析が可能になってからこの分野の学問は爆発的に発達したようです。古人骨のDNA解析の第一人者は2022年にノーベル生理学・医学賞をもらった、ドイツのマックス・プランク研究所のスバンテ・ペーボ博士。
現生人類がほんの10万年ほど前にアフリカの南部に発生し、その後瞬く間に地球上のあらゆる地域に進出したことや、私たちの遺伝子の中には3万年ほど前に絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人のDNAが何パーセントか入っていて、だからこそ私たちの祖先は生き延びて今に至ることが出来たのだ・・・というような驚くべき事柄は、長男がくれたスバンテ・ペーボの本にも書いていました。篠田謙一先生のこの本は、そんなことも含めて、最近の研究をまとめて分かりやすく解説してくれたものです。
日本人のルーツは、5万年ほど前に東アジアの島々(当時は陸続きかも)やオーストラリア・ミクロネシア・ポリネシアにわたった人々の分かれなんだそうです。黒潮に乗って(たぶん)日本列島にたどり着いたのは3万8千年ほど前。この人たちと、2万5千年ほど前に大陸から樺太を伝って北海道にたどり着いた人たちが、いわゆる縄文人という日本列島特有の人たち。
(ここから先は少しこの本から離れます)縄文時代は1万7千年ほど前から3千年ほど前まで続きます。この時代の特徴は文化的にも芸術的にも科学的にも、世界に類を見ないほど繁栄した時代であったことです。また、この時代の日本人は人間同士が戦う時に使う武器を持っていなかった(作っていなかった)ことも知られています。
私たちは、3千年ほど前に大陸から朝鮮半島を経由して渡ってきた中国や朝鮮系の人たちが日本に稲作文化を伝え弥生時代が始まった・・・と教わりましたがこれは正確ではなくて、稲作は8千年ほど前の縄文時代からすでに日本で始まっていたのだそうです。むしろ、7千年ほど前に中国の揚子江の河口で突然始まった稲作は日本人が伝えたものではないかと考えられています。
鉄器も、私たちの大好きな諸葛孔明の活躍した中国の魏・呉・蜀の三国時代(千8百年ほど前)に魏で使われるようになり、以後に日本に伝わった・・・と言われますが、これも間違いで、日本では3千年も前にすでに使われていたようです。ただし、武器としてではなく農機具として。鉄鉱石の埋蔵量の多い朝鮮半島で鉄の製造をしていた倭人(日本人)から、朝鮮半島に近い魏の国が鉄を仕入れて武器に加工し使った・・・これが正しい歴史です。
これまで、日本の文化は中国人や朝鮮人から受け継いだ・・・と思われていた歴史は大きく覆り、むしろ、日本こそが東アジアの文化の中心であったことが次々と分かってくるにつけ、日本人として誇らしい気持ちがふつふつと湧いてきます。
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