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府中の家 木を選ぶ。

紀州の山の7割は植林山(人工林)です。全県的にみるとそうですが、紀南に限ればほぼ9割が植林山です。つまり、山の緑と共存しようと考えると今は、自然をいかに残すか・・・ということよりも、人工林といかに付き合うか・・・が現実的に考えなければならない課題だと言えます。建築の視点から具体的に考えると、地元の木をどうにか使って家を建て、そうすることで街と山を経済的に結びつけ、山の緑の健全な保全の道を付ける、ということが大切です・・・こんなことを30年ほど前から言っていたらSDGsなんて新しい言葉が出来て、機運が広まって、なんだかフォローの風が吹いてきたような気がします。
そんなこんなで、スーパーローカルに生きる私は、出来る限り地元の木を使って家づくりをします。柱は桧、梁は杉、壁や天井には杉・桧の板。平均的なお家1軒に付き総合でだいたい30m³ぐらいの使用量、ほとんど全てが龍神材です。
何とかして欲しいのが床板。日常的に地元の木で作った床板を商品として供給している材木屋さんが見うけられません。ですから、床板については特注の桧板や杉厚板などを使用することはありますが、多くは信州産の松材(唐松・赤松)を使います。床材さえあれば全ての木材が紀州材、というお家が出来るのですが、残念なところです。