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木の家と金物。

現在の建築基準法の木造の構造基準は、耐震性能を中心に出来ています。耐震性能とは、地震や台風などの建物にかかる力(外力)に対して、その建物がどのくらい耐えられるかの安全性の度合いのことです。つまり、大きな外力が建物に加わった場合、その外力をいかに制御するか(制振性能)や、その外力をいかに建物に伝えないか(免振性能)などはまだ一般的ではないわけです。
耐震性能で外力に対応しようと思うと、壁を固めて、床や屋根を固めて、それに応じて木材の取り付きヶ所やつなぎのヶ所を固めていく・・・ということになります。その時に必要になってくるのが各所・各種の金物です。
金物の多くは個人で開発しているわけではなく、大手の専門メーカで実験を繰り返しながら開発・販売されます。ですから、臨機応変に現場の状況に合わせて欲しい金物がそろっているわけではなく、不便を感じる時もあります。しかし反面では、国の認定を通ったしっかりした品物が手元に届くので、信頼性も安心感も高いです。

中村設計では、木材を金物で止める時には、木材は金物に比べるとはるかに柔らかく断熱性能も高いという特性に注意を払って配置・使用するようにしています。金物は木材より結露などの可能性が高いので湿気で木材を痛めてしまうことも心配ですし、計算上有効だからとあまり強い金物を使用しても木が裂けたり割れたりして用をなさないことなども考えられるからです。あまり強すぎないものをバランスよく・・・が肝要です。
もう一つ大事にしているのが、台風の風などで屋根に吹き上げの力がかかった時の対応です。屋根を吹き飛ばしてしまう力に対する対応は、建築基準法では特に重視されていませんが、毎年のように台風の直撃を受ける紀伊半島では必要な性能です。
具体的には、軒先に受ける風圧に応じて、屋根構造体と梁・柱をしっかりと緊結したうえで、通し柱などの重要な柱をホールダウン金物などで直接にコンクリート基礎に止め込み、屋根にかかる吹き上げ力に対抗します。
どこの地方であっても、その地独特の風や雪や雨などに対する対応は必要です。