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木の家の屋根造り。

以前に、床や屋根を高剛性のものにしておくと、建物に加わった地震や台風などの外力を壁などの特定のヶ所に集中させることなく、建物全体で分散して対応できるようになるので、しっかりとした建物を造るのに有利です・・・ということをお伝えしました。
そんな理由から2階床にはJパネルという杉の3層厚板パネル(36ミリ厚)を採用しています。これで通常の根太ころばし構造の床より3倍ほど強靭な床が造れます。Jパネルは同じような強さを発揮する構造用合板と比べると調湿性能が高く透湿抵抗が低いという特徴を持ち、化学物質などの発散量も少ない優れた建材です。
屋根下地に採用するのは無垢の杉板(12ミリ厚)です。しかし張り方を工夫します。垂木に対して45度傾けて、1間ごとに方向を変え互い違いに張るのです。実験によると、張り方をこのように工夫するだけで、横(垂木に対して90度)に張っただけの屋根に対して3倍もの強さを発揮するそうです。また、同じような構造で杉板の代わりに構造用合板を張ったものより2倍以上の強さを発揮するとされています。斜め45度に張った屋根下地の部分は、桁(梁)の上部に垂木材と同等の大きさの断面を持つ面戸という部材をしっかりと固定しておき、力がスムーズに各部材に伝わるように心がけます。

屋根下地を斜め45度に張るのは桁や梁に囲まれた室内の上部のみです。軒先は建物の強さにはあまり関係がないので、馴染みのある横張(垂木に対して90度)としています。
屋根下地に構造用合板でなく杉板を使うのには、屋根剛性以外の意味もあります。斜め45度に張る杉板は無垢材なので、構造用合板などと違って調湿性能が高いうえに透湿抵抗が低く、板と板はただ突き付けているだけで間には微妙な隙間もありますから、その部分からの湿気の排出も見込めます。屋内の湿気を外部に排出して清々しい室内を実現し、その際の屋根面結露を防ぐには、杉の無垢の屋根下地材はうってつけの材料だといえるでしょう。