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木取りのアレコレ
建材としてつかう木材は、原木から、無駄が出ないよう用途に合った適切なサイズに切り分けられます。
これを“木取り(きどり)”といいます。木材は部位によって性質が異なるため、木取りは、それを考慮した上で行われます。
木材の部位それぞれの特徴
木は、中心部分(樹心)に古い時代の年輪があり、皮の方(樹皮)へゆくほど、最近できた若い層になっています。
四季のある日本では、できあがる細胞のつくりが季節によって違います。
春からは直径が大きく壁の薄い細胞が作られ、夏以降は直径が小さく壁の厚い細胞が作られます。秋から冬の間は細胞分裂を止めます。
大きくて壁の薄い細胞は白っぽく見え、直径が小さく壁の厚い細胞は黒っぽく見えるので、白黒交互の同心円…年輪になります。
心材は水分が少ないので堅く、乾燥による変形も少ないです。主に構造材などに使用します。
乾燥させると、水分が減った分の体積変動には、割れることで対応します。
柱などに使う場合には、その割れを一カ所に集中させる目的で、“背割り(せわり)”を入れたりもします。すでに成長を終えた部分なので、辺材にくらべて水分や養分を蓄えていないため、腐食や虫害に強いのが特徴です。
辺材は、細胞が新しく、水分を多く含んでいて柔らかい性質をもっています。
柔軟性に富み、乾燥すると大きく収縮します。
建材として使う場合は、大きな力がかからず、取り替えの利きやすい場所に使用されます。
木材としては、耐久性・強さ・美しさの点で、心材が優れているといわれます。
丸太を切り分けていきます…
丸太を上から見たところ
角材を切り出す
【心持ち材】
樹心を含んでいる材。腐りにくく強い。構造材などに使う。
【心去り材】
樹心を含んでいない材。節が少なく美しいが、耐久性は劣る。
板を切り出す
【板目】
年輪の接線方向に挽いた材。年輪がうず巻き模様に現れる。
【柾目】
丸太の中心に向かって挽いた材。年輪は平行な木目になる。
板の“表”と“裏”
【オモテとウラの使い分け】
木材には表と裏があり、樹皮に近い方を“木表(きおもて)”樹心に近い方を“木裏(きうら)”という。
木表側は成長の盛んな若い部分のため細胞が大きく、水分を吸収しやすくなっている。そのため、木材は木表側に反るという現象が起こる。
床やデッキとして張る場合は、木裏を上にする。
中村伸吾建築設計室・木の家工房Mo-kuでは
国産の心持ち材を。
構造材は、すべて龍神の山に生えていたスギやヒノキです。柱・梁をはじめ構造体へ使う木材は、心持ち材で揃えます。
建材として適切な水準まで、天日による天然乾燥で含水率を落とし、出荷前のしっかりとした検査をパスした木材のみを使用します。
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の機構仕様書では、国産の心持ちのヒノキは、防蟻処理など薬剤処理をせずに使用することも認められており、
建材として大変信頼性の高い材料といえます。
他の部分に使用する木材も、信州産のカラマツ・アカマツなどすべてが国産材で、板材などを除けば、角材はほとんどが心持ち材です。