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府中の家

府中の家 間取りを決める。

府中の家 間取りを決める。
・府中の家 計画案 1。
府中の敷地で、一番最初に考えたプランはこのようなものです。
敷地が100坪を超えるほどあるので、全部を一括で使ってしまうのはもったいない。ここはひとつ北側半分ほどに建物を納めて、もう半分の南側はイベントや駐車場、植え込みなどに使えれば・・・と思い、延べ面積30坪と少しの2階建て・・・若いご夫婦と小さな子どもさんが2人ぐらいのご家族を想定した、とても合理的な計画です。  
 
  • ▲府中の家ファーストプラン
眺望が望めるのは南と東ですから、1階タタミの間とLDKはその両方向に大きく開いています。台所仕事をしながらでも少し左を向けばみどりが眺められ、キッチンセットはセミオープンで狭い空間を広く感じる工夫をしました。水廻りは西側に集めて効率的に。大きな玄関土間はLDKとつながってこの住宅の核をなし、中・土間・外を一体に使える特徴的な空間となります。ここは南の空き地につながり、自然と人の生活が縦横に絡み合う楽しげな暮らしを意識しました。勝手口は東のハズレで、食品庫も兼ねます。
2階は各部屋の2方向の窓で風の入り口と出口を確保。どちらの部屋にも屋根置きのベランダを付けて掃き出し窓を用意する。こうしておけば布団干しなどに困ることはありません。一方(東側)は夫婦寝室、もう一方(西側)は大きい間にしておいて、子どもたちの成長に合わせて必要に応じて区切る想定です。荷物の量に応じて、2階の北側にはクローゼットなどの上にロフトを用意したいと思っています。薪ストーブを据えたくなった時ように吹き抜けは付けておきます。両側の個室の間には、小さくても書斎コーナーは用意したい。このような空間は経験上、家族の趣味や潤いの場所として結構役に立つものです。
4人ぐらいの家族を想定して、使いやすい空間と間取りを意識し、建築費もあまり高額にならないように意識して効率的にまとめたプランです。

・府中の家 計画案 2。
二つ目に考えたのは、最初のものの改良版。玄関土間とLDKが一体になった特徴的な空間はそのままに、台所前のスペースをもう少し効率的に使えないか?お風呂からも景色が見えないか?もっとフレキシブルな空間使いは出来ないか?・・・と考えたのが始まりです。
 
  • ▲府中の家 セカンドプラン
結果、1階の空間の中央にあった台所を西側に移動させ独立性を強めて、居間・食堂と玄関土間に少しだけ余裕を持たせ、薪ストーブを最初から置きました。玄関土間の大きさにこだわったのは、鉢植えのみどりにあふれた土間空間を、あるときには屋外として使い、あるときには居間・食堂の一部として使うことで、外部と内部の一体感を高めて季節や空間を楽しむためです。思い切って、土間には薪ストーブも計画しました。高額で手間がかかり場所も取る薪ストーブは単なる暖房器具として使うには無理がありますが、この住まいのようなコンセプトの住宅には良くマッチする暖房器具だと思います。
2階では個室の独立性を高めて、大部屋をいつでも二つに区切れるように最初からしつらえました。夫婦寝室と子どもたちのスペースは振り替えました。時として朝日は大人には厳しいものです。吹き抜けはそのまま継続してとり、薪ストーブを据えるときに大切となる空気の循環路として使います。暖められた空気は吹き抜けを上がり、各個室を経由して充分に暖めた後、階段から降りていって空気の道が完成するわけです。このぐらいの広さの住まいならば、薪ストーブ1台で家全体を充分に暖められます。ホールを大きく取るか、計画案1のように、ホールの一部を書斎として利用しやすい空間にするかは融通が利きます。階段や収納の上にロフトを取ったりするのは必要に応じて・・・この辺は計画案1と同じ考え方です。
全体に計画がタイトに感じられる方には、東西方向(左右方向)にLDKを広げることや、タタミ間を8帖にすることなども出来ます。特徴的で使い勝手の良いプランであると思います。

・府中の家 計画案 3。
当初、経済的にも土地利用の観点からも2階建てで効率的に・・・と思い、作りはじめた計画でしたが、ここに来て大いなる方向転換をしました。きっかけは、それなら別に中村設計・木の家工房Mo-kuがわざわざ現物を建てて提案しなくてもどこにでもあるんじゃないの・・・と言うスタッフの一言でした。そうか私たちの姿勢を示すのなら別のものが良いか・・・と考え直して造ったのが計画案3です。  
  • ▲府中の家 サードプラン
幸い敷地もそこそこにあることだし、少し工事費がかさみますが、最近皆さんから要望の多い平屋で、家の真ん中にはLDKと茶の間をまとめた大きいめのスペースを用意して、各部屋は南東にランマ付の掃き出し窓を付け、その部分には雪国の雁木家屋のように柱を前に出して充分な軒の出を取って陽差しを調整し、中と外がどこからでも自由に行き来できるノビノビとしたお家。ただし、諸々の制約もありますので、中庭やら大空間の居間、薪ストーブなどは残念することにしました。収納の不足は各部屋付のロフトで補う、ちょっとした書斎コーナーを廊下の余裕のあるヶ所で・・・ときれいな2間角の柱・梁の基本構造グリッドの中に結構自由に発想しました。 一般の方には、平面計画段階ではまだはっきりとしていないように思われる建ったときのイメージですが、通常私たち設計者がプランを考えるとき頭の中では、平面と断面と構造と法規と外観が合体した非常に複雑なものがグルグルと回っています。この単純化した平面では、切妻の大屋根を大胆にかけた外観か、陸屋根(平らな屋根)に近い勾配の、片流れのスッキリとした外観に仕上げる事が出来ると思います。
(普通、建築図面では南側が下になりますが、編集の都合により計画案3より下側が東、つまり南は左側に変わっています)

・府中の家 計画案 4。
計画案3では、平面も立面も単調になりすぎた・・・とも感じていて、そこのところを手直ししたのが計画案4です。
(この図面も左側が南方向です。図面下側は東になりますのでご注意ください)  
  • ▲府中の家 フォースプラン
計画案3を基本としながら、居間の使い勝手を、板間と茶の間(タタミ間)に分けて、食堂を独立させたのが計画案4です。LDK全体を合算した面積は計画案3と大きくは違いませんが、食堂と居間のスペースを別々に確保しましたので、食事時などに来客が重なった折には、こちらの計画の方が気兼ねなく過ごせそうにも思います。少し引っ込んだ食堂前のテラスは、お天気の良いときにBBQなどして大いに遊べそうです。
水廻りに面積的な余裕が生まれたので、大きい目の洗面台を造り付けてちょっとした収納も付けたいと思います。脱衣場はとてもプライベートなところで生活感があふれることが多く、洗面はパブリックな性格も併せ持つところなので、この計画のように、出来れば別に用意しておいたほうが、いざという時には慌てなくてすみそうです。収納が少なく感じましたので、北側にある板間10帖1では水廻りとの間上部、南側の板間10帖2では玄関とホールの上にそれぞれ4帖ずつのロフトを用意しました。
食堂部分が1間引っ込んだのとひき換えに板間部分は1間出っ張ることになりましたが、図面右側(北側)は敷地も少し広くなっていますので、敷地形状とのマッチングも良さそうです。平面に少し変化が出たので、切り妻大屋根の屋根形状にも多少の変化が出ます。南側の玄関導入(アプローチ部分)は木のフレームを組んで、その下にアルミの4メートルを超える長さの庇を吊り下げます。軽量でリズミカルに見えるように工夫したつもりです。ちなみに、アルミの庇は玄関先のカーポートの下に差し込まれるように計画しましたので、雨に日にも濡れることなくクルマへの乗り降りが出来ます。
さて、次回は立面計画を煮詰めていきます。