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府中の家ができるまで
Process

府中の家 敷地を探す。

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    ・地域特化型セミオーダー住宅・府中の家。

    写真は和歌山市楠本に建っている当事務所のギャラリー・木の家工房Mo-ku。この建物を建ったのは2009年・・・と言うことは、もう足かけ12年にもなります。月日の経つのはなんて早いんでしょう。中2階の事務所の下の駐車場にはゴルフが止まっています。あの頃には5代目のゴルフに乗っていたのかあ~、思い通りに動いて気持ち良いクルマだったなあ~・・・あれからA5に乗って、V40に乗って、320iに乗って、それから今乗っているQ5。A5とV40は(色々とあって)短命だったなあ~・・・などと考えていると、結構な時間が過ぎたように思います。

    ▲木の家工房 Mo-kuの外観

    木の家工房Mo-kuは、本来の体感して頂くための木の家の展示場としてだけでなく、ギャラリーとしてパネル展示や素材展示、又諸々の打合せや、イベント会場としても現在も充分に当初の役目は果たしているのですが、それでも流石に新鮮味はなくなった・・・と言えば、そう言えなくもない・・・ということで、ここは一念発起して、皆さんに木の良さを充分に堪能していただける新しい地域特化型のセミオーダー住宅を建てることにしました。
    地域特化型というのはこれまでも散々に言ってきたこと。地産地消、省エネルギー、地域との共存(経済循環・環境循環)、地元職人の雇用確保・・・などを考えるとはずせない視点。今回新しいのはセミオーダー住宅・・・と言うところ。設計事務所はとかくに敷居が高い、設計料が高額、だいたい出来上がるものがどんなのなのか分かりにくい・・・といったイメージがあって、住まい手には馴染みが薄い印象があります。そこで、設計料のうち基本設計の部分(全体の約30%)を、事前に用意した計画で気に入って頂けるならお安くします・・・と言うのがセミオーダー住宅の考え方。府中の家はその見本住宅で、木の家の住まい心地を肌感覚で体験して頂ける住宅。何ごとも百聞は一見にしかず・・・現実の木の家体験は、今まで本で見たことしかなかった、人づてに聞いてはいたものの実際のところはどうなの・・・といった、もう一歩手応えの確信を得たかった方々に実感を伴ったもの選びの場を提供するための建物です。見学だけでなく、条件が整えば宿泊もして頂けるように計画しています。ここでの木の家体験を通じて、きっと目から鱗の瞬間があなたにも訪れることでしょう。
    土地は木の家工房Mo-kuからそんなに離れていない府中。春には満開の桜並木がきれいな通りを抜けていったところにある、用水路の近くに求めました。

    ・府中の家、敷地。
    府中の家はみんなに来て頂きたい建物ですから、敷地選びは結構慎重になりました。個人的な好みも手伝って、基本、街中にはあまり入りたくなかったので、木の家工房Mo-kuの近く。出来れば前面道路は入り組んだ細い道でなくて、隣に家が建て込んでなくて、緑が多くて、敷地内で小さなイベントでも出来るように少し大きめの土地・・・なんて、条件を考えていると、瞬く間に数年が過ぎてしまいました。
    生来の悩み癖も災いしてか、いくつか候補が浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・そんなこんなをくり返している内に、奥さんがたまたまネットで見つけた土地の隣(?)にあったのが今回敷地。

    ▲南道路から北西方向を見る

    写真は南東側から見たところ。南(手前)の道路は幅員が7メートル弱あり、西側(左側)の道路は6メートル弱の幅員とそこそこに広い。道路は全体に北に向かって緩やかに高くなりますから、このあたりの住宅街全体が緩やかな南斜面の上なのでしょう。北側は1メートルほどのコンクリート擁壁でかさ上げされた隣地、すでに住宅が建っています。南斜面で、北側と西側に既存の家があるということは、冬の冷たい北西の風が緩和され、夏には厳しい西日を遮ってくれる・・・ということ。南に道路、東に隣地(畑・休耕地)ならば陽差しを邪魔するものは何もない・・・ということですから、願ったり叶ったりの土地です。

    ・府中の家、敷地東側。
    これが敷地の東側の写真。2メートルほどの石積み擁壁の下に、幅8メートルほどの耕作地(今は休耕中)。そしてその東には・・・近くの田んぼに水を引く用水路です。はじめてこの土地を見に行ったときには、この用水路の30センチほどの水深の中に数匹の鯉が遊んでいました。春の田植えの時期には、水路高さの半分くらいまで水かさが増すようです・・・ひょっとすると、段差や水路のあるこんな状況を好まない方も居られると思いますが、こんな風景、私は好きなんだなあ~。  

    ▲南道路から用水路越しに敷地を見る

    思い起こせば、生まれた串本の街にも、育ったすさみの街にも家の近くに川があって。そこは私の格好の遊び場でした。水の近くの土地は夏場に涼しいという利点がありますが、そんなことより、自分自身の原体験が土地選びに大きく影響したような気がします。
    このところの心配事で言えば自然災害・・・大丈夫?ハザードマップで見ると、浸水地域とそうでないところのちょうど境目あたり。念のためにご近所さんや不動産屋に問い合わせてみたところ、近くまで水は来たことあるがこの土地が浸かったことはない・・・とのこと。山沿いにつながる断層はもう少し北側とあってひと安心です。
    東(写真右手)には住宅が並んでいますが、水路を挟んでそこそこに離れていますのであまり視線も気になりません。この水路側の空いたところに少し緑でも植えて、ノビノビとした暮らしのイメージが拡がるお家が出来れば良いなあ~・・・というのが今の思いです。

    ・府中の家、街区の入り口には桜並木。
    府中の土地が気に入ったのは、東側の水路の他に、街区の入り口のきれいな桜並木も大きな要因です。道路脇に桜の老木が並んでいるのは承知していましたが、春にたまたまこの土地に行った時にはごらんのような満開の桜・・・これがとってもきれいだった。

    ▲街区入り口付近の桜並木

    ほぼ真北に少し上ったところにある府守神社の門前の桜並木が街区の入り口まで続いているのです。住宅街に開発される前には、このへんの土地は神社の門前町だったのでしょう。南北に延びる長い参詣道の真ん中あたりを加太から紀の川市に続く旧の幹線道路が東西に貫いてしまって、分断された南側一帯が住宅街になった・・・という感じでしょうか。ちなみに、この道を真っ直ぐに下っていくと(南下していくと)県立の盲学校に突き当たります。突き当たりを左に折れて、50メートルほど進んだところ、盲学校の道向いにあるのが今回敷地です。
    住宅街そのものは50年以上前に開発されたようで、現在の感覚で言うと少し大きい目の区切りになっています。最近の開発地が50坪前後に区画されることが多いのに比べて、ここではいずこも80坪前後はあるでしょうか。建っているお家も大きめです。区画に伴って、道路も広いめ、全体にゆったりとした雰囲気も気に入っています。

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