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木の内装は快適な空間づくりの助けとなる。
室内の仕上げに木材を用いると、木材の吸放湿作用が空間の湿度をある程度一定に保ち、過ごしやすい環境づくりが可能になります。また、湿度を低く保つことでハウスダストの原因となるダニや細菌の生存しにくい環境も作ります・・・という意見があります。では、実際に木質内装の湿度の調整効果はどのくらいあるのでしょう。
壁・天井などの内装に木の無垢材を使用した部屋(A棟)と、木目調のビニールクロスを用いた部屋(B棟)で睡眠時における室内の湿度を測定した実験によると、季節にかかわらず、A棟の方がB棟より湿度が低くなっています。通常、寝ている状態では人の呼吸や発汗などによって時間と共に湿度が上昇しますが、無垢材が吸放湿作用を発揮し、その上昇を抑制したと考えられます。ビニールクロスを貼った内装では、水分をあまり吸収しない素材が表面に露出しているため、容易に湿度が上昇している様子がうかがえます。
冬期、睡眠8時間後の木質内装の部屋(A棟)では約72~73%程度の湿度なのに対して、ビニールクロス内装の部屋(B棟)では87~88%程度の数字を示しています。夏期では、同じくA棟では74~75%程度の湿度なのに対して、B棟では89~90%程度の数字を示します。
つまり、冬期も夏期も木質内装の部屋では人の睡眠中の湿度の上昇がおだやかで、抑制出来た湿度は15%程度であったということです。就寝時にエアコンのかけっぱなしで体調を崩した経験がある方々には特に参考にしていただきたい実験結果です。