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びっくり土間の家 基本設計
クライアントからいただいた家づくりのコンセプトは、
・やりたいこといっぱいの二人がめいっぱい楽しめる家
・シンプルで機能的な家
さて、お二人からいただいたコンセプトと、私がお二人を訪ねて感じたびっくり(驚き)をどのように消化して建物にするべきか・・・基本設計にあたっては、困った・・・よりは、ドキドキが止まらない・・・のほうが正直な感じでした。

外観は内部の組み立てから必然的に導き出されるものと思っていますので、作為的に変化を創り出すのは避けて構造的にも意匠的にも環境対応的にも基本に忠実に、太陽光を制御する深い軒の出で雨風を防ぎ、むしろ以前の建物のように何気なく箱として簡素にして、入ってみてびっくり・・・のギャップを味わっていただけるようにしました。
ファーストプランでは、二人がめいっぱい楽しむ、ということにフォーカスを当て、大きな土間にたくさんの作品を並べて、それを出来ることなら通りを行き交う人たちにも楽しんでいただきたい。収納はたくさんないと作品などが納まりきらない。創作活動空間や事務空間も充分に確保したい。もちろん住空間も充実させたい・・・という思いから、各階のフロアーをスキップさせて連続的につなげ、創作活動と日常生活が一つになった生き方を住まい全体で表現できるようなあり方を提案しました。
しかし、欲張りすぎたのかもしれません。現実的な制約や掴み切れていないニーズというものはあるものです。基本計画は10回を超えて練り直すことになりました。たくさんの話し合いを重ね、最終的に決まったのが現在の実施プランです。決定を左右した大きな要素は、シンプルで機能的な家・・・という当初のコンセプトとして頂いていた言葉。ヒントは身近にありました。

35坪弱の延べ面積の建物は総2階建て。切妻の大屋根をかけた四角い建物は、たくさんの作品展示が出来る大きな玄関土間と、とても機能的な住空間の1階と、30帖を超える空間のほぼすべてを使った創作活動空間と事務スペースと収納のための空間で構成された2階という成り立ちです。
住い手はクリエーターであるべきだ・・・と常々私は思っています。あてがわれた建物に何の工夫もなく住んでいても、満足感の高い住まいは出来ません。住宅は、人の暮らしが入って、住まい手らしさが発揮されてはじめて住まいとなるのです。
この住宅の住まい手は本物の生粋のクリエーター。用意された建物の中で、設計者も驚くような住まい方をしてくれるであろうことは想像に難くありません。用意した大きな玄関土間が、人々をドキドキさせるような「びっくり土間」として機能しはじめる日が今から楽しみです。