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すさみの家 珪藻土塗
珪藻土は調湿性能の高い、住宅の内装材としては優れた建築材料です。ただし、よく見かけるビニールクロスや和紙などと比べると少し高価な材料にはなります。この住まいには室内に、一部鉄骨の梁などをあらわしとして採用しましたので、熱伝導の高い鉄骨部に結露が起こることが心配になり、特に室内の湿度をうまく調整できる調湿の性能に優れた壁材を採用したのです。

今回はプラスターボードの上に厚塗りプラスターを下地として珪藻土塗で仕上げています。塗り回数としては下塗り・仕上げ塗りの2回です。これで5~6ミリの塗り厚になります。調湿の性能は施工面積により左右されますが、塗りの厚みにも影響されます。厚いほど珪藻土がたくさん使用されているので調湿の性能は高くなります。
また、珪藻土の中に寒水石と呼ばれる大理石の小さな粒と細かく切った藁を混ぜ込んでもらいました。石は蓄熱の性能が高い材料ですし、藁は調湿の性能の高い材料です。これらの工夫で、珪藻土の調湿・蓄熱の性能を補強します。
寒水石と藁を混ぜ込んで、珪藻土の塗り厚を増やしたことで、壁そのものに凹凸ができ、おおいに本物感・素材感が高まりましたが、コーナーの納まりにもひと工夫しています。柱との取り合い部分は額縁という木製の見切り材を付けて壁仕上げを納めてしまうことが多いのですが、それでは壁(土)の厚みを感じることが出来ません。そこで、納まり部分は見切り材ではなく、Rの役物を使用して土の厚みをことさらに意識できるようにしました。

快適に住まうために有利な性能を持つ材料を選ぶことは大切ですが、見た目でその材料のらしさ感を楽しめるように工夫することも大切です。いかがでしょう・・・この壁には土がたくさん塗られているように見えませんか?