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古民家再生大阪府堺市 木製建具・家具
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家具や建具を切り込み・据え付けするのは工事全体の最終工程である。造り付けの家具には寸法・デザインが物件に合う、使い勝手が思いのまま、無垢材で造るので化学薬品などの発散がない・・・などの良さがある。

写真の家具はアイランドキッチンの背中に付く食器棚。天板は桧の無垢材である。扉類は桧の枠に杉の源平の板(赤味と白太が混じった板)をはめ込んだ。150年生の木から取った板なので、目込みで色合いが良いのはもちろん、たったの2枚で扉1枚分に足りるほどの太さを持つ。空いているところは引き出しが入るヶ所、ただいま製作中である。吊戸棚にも下部の家具と同じデザインの戸が入る。
玄関戸は桧枠の3枚引き戸。格子の一番下に入っているのは杉の赤味の柾目の厚板。この杉も150年生以上の杉なので、目込みで赤味が美しい。上部には6.8ミリの合わせガラスが入る。フィルムを両方からガラスでサンドイッチした合わせガラスは、クルマの前面に採用されるほど強度が高く割れても飛び散らない。最近では、防犯ガラス・・・と呼んだ方が通りが良い品物である。

室内の一般の戸も桧の枠に杉の源平板をはめ込んだもの。中の桟で隔てられている上下の板は1枚もの。上から下に眺めても模様(年輪)はつながっている。出入り口は基本的に使い勝手に優れる引き戸にするが、物入やどうしても引き代が取れない場合には開き戸も採用する。家具・建具に採用したのは紀州龍神材の杉・桧。龍神材は目込みで素直、なので狂いが少ないうえにきれいな薄ピンクの色味が特徴である。
引手・取ってなどはステンレス製。手に馴染みが良いように、指に当たるところが平たい形状のもの。色はアンバー(真鍮色)、開き戸のレバーハンドルなども可能な限り同じ色合いのものを採用した。

築100年に近い古民家であるが、今回の再生工事で新しく加わった柱や梁、家具・建具などの新しい木の香りが新鮮に漂う。住まい手は2~3年もすればあまり意識しなくなるが、訪れた方々には10年を超えて香るらしい。
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