読みものArticle
古民家再生 大阪府堺市 和紙貼り下地
- カテゴリ
寝室は和紙貼り仕上げである。下地は珪藻土と同じプラスターボード。和紙は、珪藻土ほどではないにしても透湿抵抗は低いし調湿性能もある。下地のボードと共に期待以上の調湿性能を発揮して、清々しい部屋を提供することが多い。

和紙は透湿抵抗が低いので、内部に土壁やパーフェクトバリヤなどの断熱材を仕込んだ時に適した室内仕上げ材である。産地別にいろいろな特徴があるが、今回採用したのは長年使い慣れた土佐和紙である。価格はビニールクロスとそんなに変わらない上に、現場ではビニールクロスと変わらぬ施工性を持っている。
天井を屋根面にそって勾配天井としたことで、梁類が見えてきた。これまでは野材として天井裏に隠れていたので特段の仕上げはされていない。この度はあらわしとして化粧になるので、今後に表面仕上げを整える。
既存の廊下の天井にも和紙の仕上げをすることになった。この部分は既存をそのままに再使用する予定であったが、全体に仕上がってくるとやはり既存そのままの部分というのは気になってくるものである。

納戸・物入・クローゼットなどの大工仕事が出来上がった。壁は調湿機能に優れた杉板張り、天井は和紙貼りの仕上げである。3枚目の写真の部屋はクローゼットである。使い勝手に応じて棚類を用意する。使える壁のほぼ全面に可動の棚を用意した。使い勝手に応じて棚の高さ位置は再度設定していただくことになる。
一般に納戸・物入・クローゼットなどの裏方の部屋は、既製品の壁ボードや合板で仕上げられることが多い。湿気調整が得意でない建材を使うために起こる、湿気対策やカビ被害の悩み相談を受けることが多い。日頃は隠れてしまって目に付かないそんなところこそ、本来注意をしなければならない場所であろうと思う。

古来より使われてきた木・土・紙などの天然で無垢の材料は、断熱にも調湿にも優れ、新建材にない特徴を持つ。価格もそんなに高くはない。もう一度見直したい建築材料である。
- カテゴリ