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古民家再生 大阪府堺市 左官工事Ⅱ
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左官工事は仕上げ塗り工程に入る。いずれのヶ所も珪藻土、一部は外壁用の品物を室内に採用して色・質感を変えてワンポイントとする。
珪藻土壁の調湿性能は圧倒的である。あるメーカーの資料によれば、1平方メートル当たり薄塗りでも130gの吸・放出性能を発揮するそうだ。つまり、この約50平方メートルの珪藻土壁を有するLDK空間は、全体で約6.5リットル(ビールの大ビン約10本分)の湿気を出し入れする計算だ。
現実には壁下地の土壁も、天井や床に採用した無垢の木材も湿気の吸・放出性能を発揮するので、部屋全体の調湿効果のほどは推して知るべし・・・である。
玄関土間は、敷居や束の黒御影に合わせて、墨モルタルの金コテ押さえ仕上げである。私は黒色のモルタルのことを、墨モルタル・・・と呼ぶが、左官は松煙(しょうえん)モルタル・・・と呼んでいた。
モルタルに入れる色粉が、松を燃した時に取れる煤から生成された色粉であるためにそう呼ばれているらしい。この色粉を使用するときには通常のセメントではなく、白セメントを合わせる。そうしないと、セメントの灰汁(アク)が出る恐れがあるということ・・・なるほど左官の世界は奥深い。
私は毎日現場に赴くことが出来ないが、この犬は毎日現場を見ていてくれる。もう私たちに吠えることはない。しかし、門先にだれかが来た時には、まだ姿が見えないうちから必ず吠える。しっかりとした門番である。もうじき君の居場所もちゃんとできるから待っててください。
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