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古民家再生 大阪府堺市 左官工事

大工工事も峠を超え、いよいよ室内でも左官工事が始まっている。前にも書いたが、左官仕事は中身が見える仕事ではないので、古来の工法の通りに再現するのは難しい。特に最近では、左官職が関与する湿式の工事自体が激減しているので職能の継承は尚更難しい。

土壁の手直しなどは、現在一般に使われている手法で行う。既存の土壁は見えるところ、必要なところまでしかないので、まずはそんな部分の大直しである。塗り厚の厚いところは、クラック防止にメタルラスを挟んで軽量モルタルで補修する。

妻壁を受けている丸太の梁は、当然のように太さが一様ではない。あるところでは多く見えるし、違うところではあまり見えなくなる。できるだけあるがままを尊重するが、あまり見えなくなりすぎるようなところでは、新しい壁の塗り厚を加減して全体の見えがかりのバランスをとる。土色に見えるところは既存の土壁、グレーに見えるヶ所はすでに軽量モルタルでの補修が終わったヶ所である。

きれいに残っている既存壁や、新しく間仕切り壁とするためにプラスターボードで下張りしたヶ所は、目地などを補強した後でプラスターを塗って下地を造る。最近では炭素繊維を配合してひび割れ防止などに優れたカーボンプラスターを使うことが多い。

カーボンプラスターは通常のグレー色のプラスターより少し土色が強く出る。左官によると、このままこれを仕上げ面にしてください・・・などと言われることもあるようである。

大工仕事もほぼ片付いて、左官仕事も下地造りが急ピッチで進んでいる。すでに仕上げの材料や色も決めていただいているので、残りの仕事が読める。いよいよ竣工が見えてきた。