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のぞみ園生活介護施設 木材検査

木材が揃ったので、加工に先立ち木材検査をします。検査の項目は樹種・寸法、目込み・色味、割れ・腐り・虫食い、それに含水率などの各項目です。

樹種・寸法、目込み・色味、割れ・腐り・虫食いなどはスケールで測ったり目視で確認したり・・・比較的検査も容易ですが、難しいのは含水率です。計測器も形式やメーカーが違うと、それぞれに少しずつ数字が違ったりします。

木は山に生えているときには200%を超える含水率です。つまり、自身の本来の重量の2倍を超える水分を含んでいるわけです。それをそのまま建築用材として使ったのでは、後に曲がりなどの変形や割れなどの不具合を起こしますし、新築された建物の内部も湿気で困ることになります。

ですから、通常は建築用材としては30%以下まで含水率を落とします。乾燥させるには自然に乾くのを待つ天然乾燥と、乾燥窯に入れて強制的に含水率を下げる人工乾燥とがあります。今回施設では工期も限られていることから、主に人工乾燥の木が採用されています。

人工乾燥材では乾燥の後に含水率や、ヤング係数と呼ばれる曲げ強度を工場内で検査し、材の1本1本に印字してくれるものもありますから信頼性の高い材料が手に入りやすくなります。ちなみに、SD20というのは含水率20%以下、E110というのは曲げ強度110を確保している・・・と製造者が保証する材の性能です。双方ともに優秀な成績、特にヤング係数は全国平均を1割以上も上回る優れた値です。

通常の住宅でよく使われる規格より太かったり長かったりする材は、まとめて人工乾燥するのも難しいので、すでに天然乾燥で用意しているものを使います。といっても今回工事用に早くから調達していたわけではないので、近隣の産地を駆け巡って集めてくることになります。写真の、太い通し柱などは吉野からの取り寄せだそうです。素引き(柱に人工的に入れた切込み・材を乾燥させるために入れる)が良く開いているので乾燥度が高いのが分かります。

この施設には末口(いちばん細いところ)300φの長い丸太を5本使いますが、丸太の調達は特に大変だったようです。こちらの材も吉野の方からです。杉ならばまだ見付けやすかったのですが、桧材を指定していたので苦労させてしまいました。

長く在庫されていたもののようで、天然乾燥でありながら含水率は30%前後と優秀でした。表面に少し割れがありますが、丸のままの材料で天然乾燥であれば当然あってしかるべきものであると思うので、材料検査的にはOKです。

曲がりや凸凹の少ないものを選んで、使用ヶ所を指定していきます。玄関を入ったところや大きな部屋で良く見えるところなどは優先的に見栄えの良いものを回すわけです。少し曲がりの出ているものもありますが、充分に長いので真っ直ぐなところだけを使うことになります。