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古民家再生 大阪府堺市 丸太梁
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南の間の1階天井を解体すると、南北に架かる2本の丸太梁が現れた。2階床との間にあったもので、解体してみて初めて詳細が判明した。今回工事では、この部分はLDKの吹き抜けの大空間となるので、梁掛かりの構造体はそのまま大空間にあらわして、意匠として使いたいと思う。
2階の床が乗る梁は、角材で組まれていることが多いが、この現場では松丸太が縦横に組み合わされて構成されている。松の丸太梁は当然曲がっている、しかも2次元ではなく3次元に曲がっている。つまり、上下に曲がったうえに左右にも曲がっているわけである。この材料を、上に床が置けるほどに精度よく組み上げてしまうのは並みの技量ではない。撤去工事をしている大工とともにおおいに感心した次第である。
西の縁側部分の解体後の姿である。出桁の縁側部分には太い土台長押は入っていない。掃き出しの開口の部分だけに太い敷居が雨戸敷を兼ねて付けられていた。この際に撤去か・・・と随分悩んだが、木材そのものがしっかりと生きていたので、このまま再使用することにした。
再生現場では、状況に応じて現場での即決判断を迫られる。構造的なこと、意匠的な事の他に工事費にも注意しながらの慎重な判断となる。古民家再生には、知識だけでなくキャリアに裏打ちされた広範な判断材料を持ち合わせることが必要となる。
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