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すさみの家 換気棟を付ける

すさみの家では、屋根葺きそのものは少し前にできていたのですが、長らく仕上がっていなかった大屋根の換気棟がやっと付き、これで屋根葺き工事がやっと完成しました。

屋根自体は、野地板の上に断熱層、その上に簡易防水層、その上が通気層、その上に屋根下地合板、その上が本格的な防水層、表層がガルバの縦ハゼ葺きと何層にもなっています。換気棟そのものは水の侵入を防ぎながら換気ができる仕組みにはなっていますが、万が一にも雨水の侵入を許してしまった場合でも通気層(断熱材の上の層)の下で水が排出できる二重の備えです。

屋根は壁の3倍の熱量を受けるいわれていますから信じられないくらいに熱くなります。夏場の炎天下には触れないほどになることもあります。この熱量の屋内への侵入を断熱材だけで食い止めようとすると大変な量の断熱材が必要です。屋根の通気層は、暖かくなると上に上がる空気の性質を利用して空気を動かすために設けられた空気の通り道。換気棟は、一番高いところに集まった熱い空気をまとめて屋外に排出してしまう装置です。クルマならエンジンを冷やすラジエターの役目を果たす仕組みなのです。

屋根通気と換気棟を付けて熱くなった空気を排出しながら、屋根面に断熱層を持ち、屋内に入る熱量を制御する仕組みを屋根断熱と言います。屋根にはさしたる工夫をしないで、天井のすぐ上に断熱層を造って天井裏の熱くなった空気は外壁の妻面などから排出する仕組みを天井断熱と言います。

屋根断熱では屋内の温熱環境が平均化することから、天井の高い大きな空間を確保できる利点があり、天井断熱では必要なところだけの断熱ですむため工事費が比較的押さえられる利点があります。それぞれに利点があり、得たい効果や目指す空間構成によって断熱方法を選択するわけですが、中村設計ではほとんどの物件で屋根断熱方式を選択しています。

屋根面を貫通する薪ストーブの煙突囲いの部分は特に雨漏れには注意の必要なヶ所です。ですから、水上(当該部分の上部)は一般の縦ハゼ葺きの上にもう一枚ガルバの板を重ねて二重の雨漏れ対策をします。念には念を入れての精神です。