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古民家再生 大阪府堺市 解体から再生

解体工事が本格的に始まる。まずは建物の半分、玄関・水廻り・寝室などの部分から。もちろん事前調査は入念に行ったが、それだけではわからないこともある。古民家再生の成否は解体撤去のこの時点での正確な状況の把握・解析・今後の方針の組み立てにかかっているといっても過言ではない。

幸いにも、この物件では建物の基本をなす構造体は、腐り・虫食いなども少なく良好に保たれていた。住まい手が大事に手を加えながら、代々住み続けてきたからであろう。この点、同じ古民家でもすでに住まい手がいない民家とは大いに様子が違う。

古民家の造りは、日本建築の基本にそってシンプルに出来ている。組み上げる時にも、解体するときにも、構造体の仕組みと要領が分かっていれば、順序だてて理屈通りに段取りを進めることができる。

建具や畳などは、建築年代が近ければどこに持って行っても取り替えて使えることが多い。まさに、和を以て貴しとなす・・・という言葉を体現する日本独特の共同体の一体性を具体的に示す生活の知恵である。

腐りや虫食いなどが発生していない部材はそのまま再使用する。100年経っても使えるのが古民家に採用されている木材の良いところである。

柱などを新しくする場合には土間の上に独立のコンクリート基礎を設ける。石場建の古民家の基本的な考え方をそのままに、地面と基礎・柱は強固に固定することはしない。