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府中の家 梁継ぎの工夫。

来の日本家屋では、釘や金物を使わない職人技による伝統継手が普通でした。しかし、現在で一番普通なのは、プレカットと呼ばれる、工場による機械加工です。私の設計する建物では、手加工を基本にしながら、プレカットで加工された簡略な継手でも充分な強度が保たれるような工夫が施されています。
梁は継ぎ無しで組めればそれに超したことはありませんが、現実的ではありません。古民家でも、追っ掛け大栓継ぎや金輪継ぎなどの継手は採用されています。これらの伝統継手では1本継ぎ無しの梁に対して70%程度の強度が出ます。これに対してプレカットの標準継手である腰掛け蟻継では30%程度の強度しか出ないこともあります。そこで、必要だと思われるヶ所には、継手の部分の下に荷払い梁を追加し強度の補強をします。
適正な通し柱位置・梁組などと共に、梁補強、継手補強などを組み合わせて出来上がる構造木組みは見ていて楽しいばかりでなく、粘り強く、耐久性に富んだ建物の基本になります。