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すさみの家 解体撤去工事 4
解体撤去工事がだんだんと本格化してきました。写真の部屋は父が仕事部屋に使っていたところです。今回の改装ではこの部分を減築します。増築・・・という言葉は聞いたことがあっても、減築・・・という言葉には馴染みのない方も多いと思います。減築とは字のごとく、既存建物の床面積を減らすことです。
家族が増えたりする局面では、子供部屋をもうひとつ・・・などと建物はどんどんと増築されて床面積が増えていきました。これまではこの傾向が強かった。ところがどこの地方も家族も人口減少に直面して、必要床面積は増えるどころか減るところも多くなってきています。そんなときのための減築なのです。
特に改装などするときには、改装面積が多くなればなるほど工事費はかさみますので、そんな時には減築は工事費を抑えるために有効な手段です。
床を撤去してみての誤算は、床下の土間にしっかりと土間コンクリートが施工されていたこと。現在では当たり前のように行われるこの工事も、45年以上も前の工事では一般的ではありませんでした。そのために地面から湿気が上がって、床下の木部が痛み始める・・・というところが多かったのです。新たな土間コンクリートの施工費が助かった勘定です。
この建物では床仕上げ材のフローリング(新建材)のノリが寿命を迎え、そのために床が頼りなくフワフワとたわんでいましたが、床下の土台・大引き・根太などの無垢の材料で造られているヶ所は今でもしっかりとしたものです。
タタミ間の畳をはがしてみると掘りコタツが現れました。このコタツに入って遊んでいた頃が懐かしい。前の川でのアユ獲り・ウナギ獲りと共に、今は昔の思い出です。ちなみに、このタタミ間は畳のみを外し、下の根太・荒床などはそのまま再使用して、唐松の無垢の縁甲板を張って板間として仕立て直します。
それにしても、図面なしの改装工事では、現場決定としなければならないことが多すぎて困ります。手間的にも工事費的にも出来るだけ既存部材は使いたい。そうするためにはやはり創意工夫が必要です。改装には新築にない難しさがあるのだと実感しています。