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木の家と外壁仕上げ。
伝統的な木の家の外壁材は木か、土か、漆喰しかありませんでした。現在では土蔵に代表される漆喰の外壁はあまり見かけなくなりましたが、杉・桧の板張りや焼杉を張った木の外観、また珪藻土や火山灰を塗った土の外観は今でも見かけます。
木造住宅の外壁材として一番一般的なのは窯業系のサイディング。価格帯も広く、模様や種類も豊富です。最近増えてきたのはガルバリウムなどの鋼板製の外装材です。サイディングよりモダンでシャープな印象が受けているのでしょうか。
建築基準法は多くの地域で外壁材に防火の性能を義務付けています。ガルバリウムなどの鋼板製の外壁材やサイディング類は、メーカーがそれぞれに個別の防火認定をとって販売していますので使用に際してさしたる不便はありません。木の家らしく見える土の外壁材も、そもそも火に強い土が基本なので、規定上の厚さを塗ってそのまま防火の認定と認められるような品物もありますし、珪藻土のように個別の防火認定が取れているものも多く安心です。しかし、木は可燃物で、外壁材として防火の認定が取れていないのが普通で、多くの地域ではそのまま外壁に採用することはできず、政令で定める技術的基準に適合する構造にしなければなりません。
具体的には、外壁内部に土塗り壁を設ける、外壁下地を準不燃材料で造り表面に亜鉛鉄板を張る、外壁下地に石こうボードか木毛セメント板を張る、アルミの板張りパネルを使用する、などです。
上記の構造の中から、中村設計では蓄熱・調湿の性能を持ち、湿気の排出が容易で、工事費が性能に対して妥当であることを判断基準に、内部に土塗り壁を施工するか、下地に木毛セメント板を張る構造を採用しています。
内部に土塗り壁を施工することを選んだ場合には、土は断熱の性能が低いので、構造体をすっぽりと断熱材で囲んでしまう外張り断熱とセットで採用します。木毛セメント板を選んだ場合には、透湿抵抗の低い木毛セメント板の特性を生かして、室内の湿気を壁体内結露なくスムーズに外気に排出できる構造とします。
どちらも、設計と施工には経験値から生み出される熟練の技を必要としますが、木の家らしく、暖かくて・涼しくて・清々しい住まいを造るためには有効な方法です。