本文までスキップする

読みもの
Article

木の家と伝統継ぎ手。

私の設計する構造部材あらわしの木の家も、構造材(柱・梁)の刻み工程には8割がた機械加工(プレカット)が利用されます。ノミとノコギリ・カンナの時代から、電動のエンノコ・プレナーの時代、さらには全自動のプレカットの時代になっていますので、機械化は時代の趨勢として受け入れ、木の家は何が何でも手加工で・・・とは思っていません。
これまでプレカットでは、写真の追掛大栓継ぎのような伝統継ぎ手や丸太梁の仕口加工などは出来ませんでしたが、なんと最近ではとうとう伝統継ぎ手も丸太加工も出来てしまうのだそうです。
伝統継ぎ手(追掛大栓継ぎ)の良いところは壊れにくい(破壊強度が高い)ところ。尊敬する山辺豊彦先生によると、一般的なプレカットの梁継ぎに用いられる腰掛鎌継ぎと比べると追掛大栓継ぎはせん断破壊で約3倍、圧縮破壊で約2倍の強度を破壊試験で示したそうなので。安心して採用することができます。プレカットでこの継ぎ手が選択できるようになったのは画期的です。しかし、全ての継ぎ手を伝統継ぎ手にする必要はなく、必要なところに必要な継ぎ手が選べるようになったことがありがたいのです。
人でなければ出来ないところと、機械の方が上手くいくところの使い分け・すみ分けを積極的に行い、価格も精度もいい建物が住まい手に渡せるようにしたいと思っています。