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古来の構造軸組を持っていること。

・古来の構造軸組を持っていること。
古民家と呼ばれる100年ほど前の建物は家の中心あたりに太い大黒柱といわれる柱が配置され、それらを要としてきれいな田の字の梁がかり構成を持っています。多くの鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの柱と梁で構成される建物が古民家と同じような構造形式を持つことから考えても、古来の建物の柱・梁による基本軸組がいかに合理的で理屈に合っていたかが分かります。
構造力学にのっとった基本軸組は構造安定性に優れ、特殊な寸法の材料を必要としないため、木材生産現場の慣習に応じた寸法の材料による木組みができるので無駄がなく経済的で、基本軸組がしっかりしているため重要性の低い柱・梁の変更が容易で増改築などに良く対応する可変性を持ちます。
消費大国と呼ばれるアメリカでの住宅の耐用年数は平均で45年ほど、イギリスなどでは80年近くなのに対して、日本の木造住宅のそれは27年ほどにすぎません。これには、最近の木造住宅が増改築などに向いていないひと世代限りの軸組しか持っていないことも大きく関係しています。最近の鉄筋コンクリート造マンションなどでは、スケルトン・インフィルと呼ばれる構造体(スケルトン・基本軸組)と内装(インフィル)を別個のものととらえる考え方が主流で、構造体はそのままに内装を改装して住み継ぐということが頻繁に行われ、建物寿命は飛躍的に伸びています。
古来の構造軸組を有する住宅は、引き継いでいくものと変化・更新すべきものを分けて考えられる可変性の高い構造体を持つため長寿命であるともいえるでしょう。