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風の通り道のある家であること。

・風の通り道のある家であること。
太陽光の制御とともに大切なのは風の制御です。土地柄や季節や敷地の在り方、住いの空間構成、暖房の考え方などで大きく状況が変わってしまう風(空気の動き)には、住いごとに個別の配慮が必要です。
例えば春から夏にかけて南東の風、秋から冬にかけては北西の風が多い紀伊半島では、南東方向にできるだけ大きな開口部をとります。一方、北西には大開口は避けて小さな開口部を造ります。これは春先の季節の風を充分に取り込み暖かい室内であるように、また寒い北風を遮って冷たい部屋を造らないようにという心がけです。
室内の空気は温度差で動きます。夏場の熱い空気は高く天井面に近く昇りますから、出来るだけ高いところで抜いてしまうと涼しい部屋を造りやすくなります。また、冬場に暖房器具を使う時には器具による空気の動きに特に注意しましょう。薪ストーブや蓄熱暖房機のような容量の大きい器具を使う時には、1台で住まい全体を暖めてしまえるような空気の流れを意識することが大切です。太陽光をしっかりと取り込める窓があり、室内に容量の大きい暖房器具を設置すれば、吹き抜けは快適な空間を造る助けにもなります。
開口部の設置には入口と出口を対でとることを心がけましょう。どんなに大きな開口部があっても、入った風が抜けるところがなければ風の道は完成しません。