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博多・糸島の酒蔵、杉能舎。

福岡市内を見て回った後に向かったのは唐津。その途中で杉能舎に立ち寄りました。
ここは140年も続く酒蔵ですが、初代の濱地新九郎さんが芸事好きで、とうとう自分の酒蔵の一部に杉で能舞台を造ってしまったのだそうです。杉の能舞台のある建物(舎)・・・で杉能舎と呼ばれているわけです。もちろん素晴らしい日本酒と共に、こだわりの地ビール、酒粕や酵母を使った数々のパン・料理も有名です。
公開されているのは能舞台のある古い酒蔵部分。丸みを持ったままの梁が大胆に掛け渡されていて、その迫力を見ているだけでも楽しいものです。柱は当然石場建て。太い骨組みが地面には繋がれておらず、現在の建築基準法では建てるのが難しい構法です。それが140年も立派に建っている様を見ていると、これを容認しない建築基準法に一抹の疑問も感じます。どうして日本の伝統建築に真っ直ぐ取り組まないで、他所の国から持ってきた理屈にばかり寄り添うのでしょう。堂々と時を刻む日本の建物を見る度に、現在の制度に対する不満がふつふつと湧いてきます・・・なんとかしたいものです。