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ぐりんぐりん。
九州研修の最後の見学は福岡市のアイランドシティ中央公園中核施設ぐりんぐりん。
言わずとしれた建築界の巨人・伊東豊雄さんの傑作です。大きな人工池の畔、芝生の中にひっそりと・・・そんなたたずまいです。良く探さなければうっかり見過ごしてしまいそうな感じ・・・それもそのはず、この建物のコンセプトは、自然と建築との一体化。構造的には土木と建築の融合・・・なのだそうです。
大きなコンクリートの板を用意して、それをぐりんぐりん・・・と2回ねじって造ったような基本構造。どこまでが屋根で、どこが壁で、どこが柱で・・・なんて区別はありません。
3つのコンクリート構造物の隙間(通常の屋内に当たる部分)はそれぞれ、オープン広場・熱帯植物園・ワークショップルームとして使われています。屋内の遊歩道を歩いていると、自然と屋外に出てしまって・・・また屋内に戻って・・・みたいな、中と外の曖昧な空間が続く不思議な感覚の施設です。それこそが自然と一体・・・という施設のコンセプトに合っている現象なのでしょう。今ひとつインパクトが足りないように感じるのは、規模があまり大きくないことと、用途が地味なためでしょうか。
こんな建物どこかで見たことあるなあ~・・・と思って考えていたら・・・そう、これは丘をくりぬいて住まいを造るホビットと同じ考え方の建物です。自然と共存・けっして環境に負荷はかけず、慎ましやかに生きる・・・私たちが忘れてしまった生き方を具現化する建物です。パッと見て華やかでないのは、むしろ狙ったところなのかもしれません。