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龍神材。

私の事務所で使っている木は龍神材。30年来の友達である龍神の林業家からいただいています。実は、私が設計する木の家の第1号もこの林業家の自宅でした。当時、木の家を建てたくてもさしたる実績(ノウハウ)のなかった私に、実験台になる事を承知で気持ち良く設計依頼してくれたのです。試行錯誤の上に出来た設計に従って建てた家に住んで、四つの季節を過ごし、快適・・・とのお墨付きをいただいて、私の木の家はスタートを切ることが出来ました。
そもそも、紀州材は300年以上も前から専用の建築用材として育てられ、目込みで色味良く、他の産地の材に比べて1割を超えて曲げ強度が強いなどの特徴を持ちます。中でも龍神材はそれらが際立ち、さらにアテが少なく真っ直ぐで淡い桜色をしているものが目立ちます。
写真の構造材の小口を見てください。だいたい、材の中心あたりに年輪の中心があって、年輪幅が細かいものが後の狂いの少ない良材といえるものですが、ほとんどのものがそうなっているでしょう。天然乾燥ですから小口には多少の割れが出ていますが、構造材として問題になるほどのものはありません。最近では表面割れは、かえって天然乾燥材の証しと言えるかも・・・ぐらいに思い始めています。
構造材が一番見頃なのは上棟時。やさしい桜色の木々が複雑に見事に組み上がっている様を、皆さんにも一度見ていただきたいものです。