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大工道具。

それぞれの職方には、素人にあまり馴染みのない専門道具があるものです。今日ご紹介するのは、大工が床板を張るとき(それも壁際の最後の1枚)に使う道具です。
よく見かけるフローリング(合板の上に薄い木の板を張り付けた床に張る新建材)は幅が30センチぐらいあるものが一般的です。ですから、壁際の最後の1枚の扱いに困ることは少ないのですが、私たちが使っている無垢の縁甲板はその1/3ほどの幅しかありません。1/3ほどの幅の板を一枚一枚張っていくのは、当然3倍に近い手間がかかる上に、困るのは壁際の部分です。元々10センチと少ししかないので、必要に応じて切り縮めていくと、十分な締め固めができない幅になってしまうことがあります。そんなときに使うのがこの道具。
手のようになっている部分で壁際の板の端を捕まえて、真ん中あたりの盛り上がった部分をつかんで引っ張ります。その部分はスライドするようになっていて、道具尻に勢いよく当たり、その衝撃で板が締まっていく(板の間が詰まっていく)のです。
ガチャン・ガチャン・・・リズミカルな音ともに仕事が進んでいく様を見るのは楽しいもの・・・自分の仕事でもないのに、それでも結構楽しいのが不思議なところです。