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思いをつなぐ。

建築に関連する仕事の大きな特徴は、形になって残ること。だからやりがいがあるとも言えますし、だから怖いとも言えます。住宅などは、竣工から数十年を越えて(中には数百年も)住まい手の暮らしを支えます。その間に住人と共に呼吸して、いつの間にかご家族の独特の空気をまとい「我が家」になるのです。世代を超えて建て替えるときにも、馴染んだ住まいの何かを新しい家に残したい・・・という気持ちが芽生えるのはむしろ当然かもしれません。
和深の平屋では、そんな住まい手のお気持ちに出来るだけ寄り添うことを心がけました。例えば写真の段石は、100年を超える取り壊し予定の建物基礎や庭に使われていた石。形や寸法にばらつきもありますし、砂岩あり御影ありで石の種類も違っていましたが、みんな飲み込んで新しいお家の玄関に再使用することになりました。種類が違っても形が違ってもかまわんかまわん・・・こんな力強くて暖かい住まい手の言葉が、家族のアイデンティティーをつないでいきます。室内では古い木製建具類も再使用しました。現在の感覚では背の低い古い建具たちではありますが、新しいものでは表現のしようもないほどの存在感を放っています。
そんな和深の平屋もそろそろ竣工の時期を迎えます。来月20日(日曜日)にはご厚意をいただいて、完成見学会として見ていただくことが出来るようになりました・・・お時間とご興味のある方はご連絡ください。