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職人仕事。

どんな仕事にも、その仕事を長年しているからこそ得られる技や勘所というものがあります。私は設計の仕事をしていますので、建築現場にも日常的に立ち入ります。そこで色々な技に出会います。
写真は桜の床板(無垢の縁甲板)を張っているところ。板と板の間に挟んでいるのがスペーサー。チョッとしたことなのですが、この気づかいが大切なのです。隙間なくきっちりと張り上げることだけが大事なことなのではありません。木は湿度や湿度によって伸び縮みします。もちろん木の種類によってもその幅は違いますし、繊維方向によっても伸び率が変わります。今の時期なら、この気温なら、このぐらいの湿度なら、この木なら、この方向に貼るのなら、この現場なら・・・いくつもの要素によって加減は変わってきます。いちいち何かの器具で状況を確認しながら仕事をする訳ではありません。なのに不具合が起きない・・・ということは、職人の勘所が的を射ているということです。
職種に応じたノウハウがしっかりと自身の中に生きている人こそ「職人」と呼ばれるにふさわしい人です。職人仕事がそこかしこに尽くされた住まいは、私たちに快適な住まい心地を提供してくれることでしょう。