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文化が街を造る。
改装のお話しをいただいて、あるお宅を訪ねたときのこと。元は水田地帯だったところをすっかり宅地造成してしまって街になった一角。しかし、まだまだ至るところに当時の面影が残っていました。
クルマ1台がいっぱいの幅の道を歩いていて、最初に目に付いたのは用水路に群れるフナの稚魚(たぶん)。幅1メートル・深さ10センチほどの溝の中をいくつもの群れになって勢いよく泳ぎ回っています。少し目を上に向けると水路横の壁はコンクリートではなく石垣。そしてその石垣を基礎石代わりにして建物が建っています。少し離れてみると写真のような風情の街並み。板の外壁の上に漆喰の塗り壁。蔵の屋根は本格的な置き屋根・・・こりゃあ良い!よくぞきれいに残っていたものだと思う。
文化が街を造る。建物や街並みの有り様をみていると、そこで生きてきた人たちの暮らしのさまがイメージできる。この水郷にしっかりと根を張って、住まい手の生活とひとつになって建物も育ってきたのだろう。
人の生業が造った街並みには人を引きつける魅力がある。そこに暮らしてきた人たちの様子が形をもって迫ってくるからなのだろう。こんな趣は現在の住宅団地にはない。小鮒たちを追いかけていた目が建物群でとまり、しばし時を忘れて見入ってしまった。