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結露の仕組みと対策

「結露して困っています」「木の家は結露しませんか?」……家づくりの場で度々きく“結露”という言葉。
実際には、どういった仕組みで、どのような事が起こっていて、“結露”するとなぜ困るのでしょうか?

 

仕組みを知って、縁なく暮らす


“ 結露 ”とは?

空気中に含みきれなくなった水分が、水滴となって現れる現象のこと。

空気には、水蒸気が含まれています。
空気が、ある温度で含むことのできる水分の量は決まっています。温かけれ ば温かいほど、多くの水分を含むことができ、冷たければ冷たいほど、含むことのできる水分は少なくなります。
温かい空気が冷たいものに触れて冷やされると、もともと含んでいた水分を含みきれなくなります。
そうして含みきれ なくなった水分が水滴となって現れることを“結露”といいます。

 

結露 が起こる場所

温かさと冷たさの境界。温度差の大きな場所。

冷たいグラスに触れた空気、寒い窓辺で冷やされた空気、常温のメガネに触れた湯気…左の例は3つとも、温度差が大きな場所で急激に冷やされた空気の、含みきれなくなった水分が水滴やくもりとして現れ、結露した状態です。

 

結露の何がいけないの?

暮らしにおいて、人と建物の健康と保全に悪影響を及ぼします。

住宅において結露が問題をひきおこすポイントは、水の発生です。
湿ったり濡れたりしたまま保持されると、カビやバクテリア、ウイルス、ダニやシロアリ等の害虫などが、発生・活動しやすくなります。

人の健康への影響病気やアレルギーの原因となります。
ダニやシロアリなど虫が発生すると、糞などの2次被害や、捕食する生き物を引き寄せる要因ともなってしまいます。
建物の保全への影響「木が腐る」というのも、腐朽菌という菌の活動によるものです。
カビや菌類は、温度・湿度など一定の条件がととのうと一気に活性化し、建物に良くない影響を及ぼします。

結露は自然現象。
条件がそろえば、必ずおこることですから、
あらかじめ対応策を考え、計画的に管理することが大切です!

 

結露を計画的に管理する

暑い夏は涼しさ。寒い冬は暖かさを求める住まいは、家の外と中で随分な温度差ができがちです。
空気のあるところで温度差がうまれれば、どんな家でも、必ず結露します。

特に 「熱を断つ」と書く断熱材の周囲は、内・外で温度差が開きやすい場所です。
壁内で断熱材が結露により湿気ってしまうと、致命的な問題となりえます。

結露はあらかじめ発生するものとして、致命的な問題へ発展しない場所で計画的に発生させ、処理するという管理を行うことが重要です。

 

中村伸吾建築設計室でのとりくみ

防止調湿できる素材を使う構造体から内装・壁の中など見えない場所まで、調湿性能の高い素材で建てる。
風通りのデザインや天然素材の選定で、結露リスクがそもそも低いカラリとした室内環境を設計。
場所外断熱・通気構法の造り断熱材は住まいの骨組みの外側へ補填し、構造体に接する場所では結露をおこさせない。
結露をおこす場所は、通気層などで外気に直に触れさせ乾きやすくする。
対策外部へ排出できる仕組材料の通湿抵抗値(湿気の通しやすさ)への配慮や計画的な配置で、水蒸気が外
へ排出される経路をデザイン。
家自体に、全体で水分を代謝できる機能を備える。

 

仕組みを理解して対応すれば、結露しらずの快適な生活を送ることができます。

それ自体が調湿性能を持つ素材を選定し、用法や工法に配慮して、湿気を代謝できる住まいづくりを行います。
また、湿気が家の外へ排出される経路を計画し、結露は構造体の外、常に新鮮な空気が循環・排気されている通気層に接する面で起こるようコントロールしています。
はき出されてきた水分がきちんと屋外へ排出されるところまでの経路を備えた3段階のとりくみで、木の家とご家族の健全な暮らしを設計しています。