コラムcolumn

守・破・離・・・ 受け継いだものを守り、現代にあうものを取り入れ、オリジナリティを創り出す

  • 夢をカタチにする力 -その03
  • ほほしかや陶器(平成元年竣工)
守・破・離・・・ 受け継いだものを守り、現代にあうものを取り入れ、オリジナリティを創り出す
田辺市本町にある老舗の陶器店の建て替えです。ご主人には、この機会にブランドとしての「ほしかや陶器」をより定着させたいという夢があったようです。住まい手に世代を超えて大事にされてきた旧建物の趣を素直なかたちで残し、それをモチーフとして夢の実現をはかりたいと考えました。全体をセットバックさせて前面に駐車場を取り、既存の中庭をそのまま新しい建物に取り込んでいます。これはご主人のご希望でもありましたが、結果的に新築建物をバランス良く成り立たせる大きな要素となりました。玄関の縁石には旧建物を支え続けた基礎石、階段の段板には旧建物の丸太梁を整形したものを再使用するなどして、全体イメージの継承と共に材料も受け継いでいます。住み慣れた懐かしいものを新しい家にいかすのは、住まい手や環境に対する配慮だけでなく、新しく作ったのではできない歴史の重みや風情を新築建物にまとわせるという効果もあります。

これらを実現するために、紀州材、石、土を主な材料として、軒の出を十分に確保した切り妻大屋根にて建物を計画しています。本建物が狙い通りの性能を発揮し、長く人々に愛されることを願っています。

地域の魅力は、その営みの中から生まれ、育まれるもの。

  • 夢をカタチにする力 -その02
  • 紀州備長炭記念公園店舗(平成9年竣工)
地域の魅力は、その営みの中から生まれ、育まれるもの。
この店舗は田辺市秋津川の「紀州備長炭記念公園」の敷地の一角に建っています。備長炭は梅干しと並び紀南を代表する産物の一つですが、この公園ほどの規模で展示・顕彰施設、研修施設、生産施設までを総合的に備えた施設は他にありません。その公園の入り口に位置し、訪れる人の第一印象に大きな影響を与えるであろう店舗の設計に当たって、人の心に残る「住まい」に対する原体験を思い起こさせるようなものを再現したいと思いました。地元の人々によって運営され、手作りの懐かしい品物を扱うこの店舗にふさわしいと思ったからです。具体的には地域に残る農作業小屋をモチーフとし、中央に牛木、それに架かる小屋丸太、それらを支える太い柱、骨梁、母屋、垂木・・どの木材(構造材)もあらわしで(見えるように)組み上げられています。この地では馴染みの深い形態です。
この骨太で素朴な空間が、地元産品を扱うこの店舗のよき舞台装置であることを願っています。

いかなるテクノロジーもアートも、地域の環境に適合していないならば、その地域に根づくことはできない。

  • 夢をカタチにする力 -その01
  • 新庄総合公園管理棟(平成14年竣工)
いかなるテクノロジーもアートも、地域の環境に適合していないならば、その地域に根づくことはできない。
建物を考える時この言葉は大きな意味を持ちます。この地に多く育つのは「杉と桧・樹齢40~50・節あり並材」です。この地で主に工務を担当するのは地場の大工職です。
公共施設であればこそ、規模の大きい木造建築といえども集成大断面や特殊構造に頼ることなく、通常手に入る材料で通常の木組みにて建物を成立させ、姿勢に示すことは大事なことであろうと思います。
この建物は特に以下の事柄に留意して設計しました。
一.公園との一体感を持ち、当然のようにそこにたたずむ建物であること。
一.公園のテーマでもある「自然」に存在する材料にて構成されていること。
一.公園のイメージにマッチした「ひろびろ感、のびのび感」が表現できること。 
これらを実現するために、紀州材、石、土を主な材料として、軒の出を十分に確保した切り妻大屋根にて建物を計画しています。本建物が狙い通りの性能を発揮し、長く人々に愛されることを願っています。