コラムcolumn

「居は気を移す」 豊かな心を育む住まいづくり。

  • 夢をカタチにする力 -その06
  • 和歌山市島橋 西ノ丁の家(平成18年早春竣工)
「居は気を移す」 豊かな心を育む住まいづくり。
JR和歌山駅から和歌山城前をすぎて西に真っ直ぐ進むと紀ノ川大橋、橋を渡って10分ほど走ると左手が島橋。今回敷地は古くに開発されたこの造成地の中にあります。
初めて打ち合わせに伺った時には、ここに平屋の木造住宅が建っていました。南向きの配置にもかかわらず、あまり明るさを感じなかった印象があります。住まい手のご希望は「陽光がふりそそぎ、気持ちの良い風が通る家。」「家族が集えるリビング・ダイニングと、お菓子造りが出来るキッチンのある家。」というものでした。 
1階にはテラス、2階にはベランダ、屋上には屋上デッキを配置し、各階の南側に思い切り大きな掃き出し窓を用意しました。この大開口を通じて陽光と風をいっぱいに取り込む企てです。1階はキッチンを中心に発想・・・コンロとシンクを分離し、それぞれの使い勝手に応じて配置しています。
コンロは外壁に向かい実作業中心、シンクはダイニングも兼ねた大部屋の中心に位置し、家事仕事や菓子作りをしながら家族とコミュニケーションが取れる配置です。

2階は南側に板の間、多目的室を挟んで北側に寝室がつながります。北側の部屋は暗くなりがちですが、この住まいでは吹き抜け部の窓からまぶしいくらいの陽光が寝室に入っていきます。写真のはしごを登っていくとロフトから景色の良い屋上デッキに出ます。構造は骨太の民家型工法。内部には柱や梁をはじめ床板となる杉の厚板などが「あらわし」で見えています。
竣工後、御主人の海外勤務が決まりました。帰ってくる時には小さなご家族がもう一人増えてにぎやかになる予定です。その時まで木の香りいっぱいのこの空間は色あせることなくご家族を待っていることでしょう。

ふるさとの山の恵みを活かし、地域らしい住まいを創ることが、 快適な暮らしにつながる。

  • 夢をカタチにする力 -その05
  • 野中の山の木で建つ家(平成17年冬竣工)
ふるさとの山の恵みを活かし、地域らしい住まいを創ることが、 快適な暮らしにつながる。
和歌山市の北側に造られた造成地、今も拡大を続けるこの団地の一角に今回の敷地はあります。南、北、西の三方向を道路に囲まれる約70坪の土地に、住まい手が生まれ育ったふるさと「旧中辺路町野中」の山から切り出した木で「住まい」を創るのです。
北側に駐車場、玄関アプローチ、設備配置スペース等を集め、建物形状を工夫して南側にとれる限りの空間を残しました。構造は骨太の民家型工法。内部にはもちろん柱や梁をはじめ床板となる杉の厚板などが「あらわし」で見えています。軒先を充分に出して日差しの制御をすること、風の通り道を工夫すること、大きな空間(空気量)を確保して断熱は家全体で考えること・・などの基本に加え、今回建物の大きな特徴は自前の大量の木材で室内に調湿体・蓄熱体を確保できたことです。機械の効率に囚われるあまり、気密や部屋単位の断熱に目を奪われ、結局は機械なしでは過ごせない現代住宅で決定的に不足するのが調湿・蓄熱の性能です。通常の2倍の木材量を「あらわし」で使用した効果はすばらしく、この冬にはどんなに寒い日も暖房器具なしで室内温度12度を下まわることはなかったと聞いています。

上棟の日にお祝いにみえたご主人のお父さんが「小学生の時に、亡くなった私の父と一緒に植えたあの木が息子の住まいになる・・時の流れと人のつながりを意識する機会は少ないが、こうして目の当たりにすると少なからず感動する。」そうおっしゃっていたのが印象的でした。

住まい手の思いと行動が、満足いく住環境を創り出す。

  • 夢をカタチにする力 -その04
  • 白浜町椿 橘新田の家(平成16年竣工)
住まい手の思いと行動が、満足いく住環境を創り出す。
計画に当たってご主人から以下のような要望を頂きました。一.百年もつ木の家  二.シンプルで天災に強い家  三.集いやすい家  四.バリヤフリーの家  五.風の通る家・・・それらの実現のために、木造民家型の木組にてしっかりとしたグリッドの骨格を組み上げ、真ん中に大きな居間を取り、そこに2間の掃き出し窓を取り付けて上下左右に空間をつなげこの家の核とする計画を提案しました。ご近所さんが集える縁側もここに付きます。又、各所につながるこの空間は四季を通じて風の道ともなります。床・壁・天井には杉皮を利用した断熱材を使い外断熱通気工法としました。
今ひとつの着目点は「住まい手との協働」です。いつのまにか「住まい手」のことを「消費者」と呼ぶようになりましたが、自らの「住まい」をつくり、家族の生活を創造していく「住まい手」は「生産者・クリエイター」であるべきです。「私たちを満足させなさい」の「消費者」のポジションからは快適な住まいのヒントは見えてきません。人は、与えられるものでは充分な満足を得にくいからです。

今回の「住まい手」は自分たちに出来ることはみんなやってしまいました。結果、力を尽くした満足感を得、地域との融合を果たし、低価格まで手に入れました。
建物が完成してからも収納、座卓、生け垣、庭と作り続けています。住まいづくりを自らの手で行う姿勢が満足のいく「住まい」を創り出すコツといえるでしょう。

守・破・離・・・ 受け継いだものを守り、現代にあうものを取り入れ、オリジナリティを創り出す

  • 夢をカタチにする力 -その03
  • ほほしかや陶器(平成元年竣工)
守・破・離・・・ 受け継いだものを守り、現代にあうものを取り入れ、オリジナリティを創り出す
田辺市本町にある老舗の陶器店の建て替えです。ご主人には、この機会にブランドとしての「ほしかや陶器」をより定着させたいという夢があったようです。住まい手に世代を超えて大事にされてきた旧建物の趣を素直なかたちで残し、それをモチーフとして夢の実現をはかりたいと考えました。全体をセットバックさせて前面に駐車場を取り、既存の中庭をそのまま新しい建物に取り込んでいます。これはご主人のご希望でもありましたが、結果的に新築建物をバランス良く成り立たせる大きな要素となりました。玄関の縁石には旧建物を支え続けた基礎石、階段の段板には旧建物の丸太梁を整形したものを再使用するなどして、全体イメージの継承と共に材料も受け継いでいます。住み慣れた懐かしいものを新しい家にいかすのは、住まい手や環境に対する配慮だけでなく、新しく作ったのではできない歴史の重みや風情を新築建物にまとわせるという効果もあります。

これらを実現するために、紀州材、石、土を主な材料として、軒の出を十分に確保した切り妻大屋根にて建物を計画しています。本建物が狙い通りの性能を発揮し、長く人々に愛されることを願っています。

地域の魅力は、その営みの中から生まれ、育まれるもの。

  • 夢をカタチにする力 -その02
  • 紀州備長炭記念公園店舗(平成9年竣工)
地域の魅力は、その営みの中から生まれ、育まれるもの。
この店舗は田辺市秋津川の「紀州備長炭記念公園」の敷地の一角に建っています。備長炭は梅干しと並び紀南を代表する産物の一つですが、この公園ほどの規模で展示・顕彰施設、研修施設、生産施設までを総合的に備えた施設は他にありません。その公園の入り口に位置し、訪れる人の第一印象に大きな影響を与えるであろう店舗の設計に当たって、人の心に残る「住まい」に対する原体験を思い起こさせるようなものを再現したいと思いました。地元の人々によって運営され、手作りの懐かしい品物を扱うこの店舗にふさわしいと思ったからです。具体的には地域に残る農作業小屋をモチーフとし、中央に牛木、それに架かる小屋丸太、それらを支える太い柱、骨梁、母屋、垂木・・どの木材(構造材)もあらわしで(見えるように)組み上げられています。この地では馴染みの深い形態です。
この骨太で素朴な空間が、地元産品を扱うこの店舗のよき舞台装置であることを願っています。

いかなるテクノロジーもアートも、地域の環境に適合していないならば、その地域に根づくことはできない。

  • 夢をカタチにする力 -その01
  • 新庄総合公園管理棟(平成14年竣工)
いかなるテクノロジーもアートも、地域の環境に適合していないならば、その地域に根づくことはできない。
建物を考える時この言葉は大きな意味を持ちます。この地に多く育つのは「杉と桧・樹齢40~50・節あり並材」です。この地で主に工務を担当するのは地場の大工職です。
公共施設であればこそ、規模の大きい木造建築といえども集成大断面や特殊構造に頼ることなく、通常手に入る材料で通常の木組みにて建物を成立させ、姿勢に示すことは大事なことであろうと思います。
この建物は特に以下の事柄に留意して設計しました。
一.公園との一体感を持ち、当然のようにそこにたたずむ建物であること。
一.公園のテーマでもある「自然」に存在する材料にて構成されていること。
一.公園のイメージにマッチした「ひろびろ感、のびのび感」が表現できること。 
これらを実現するために、紀州材、石、土を主な材料として、軒の出を十分に確保した切り妻大屋根にて建物を計画しています。本建物が狙い通りの性能を発揮し、長く人々に愛されることを願っています。

念ずれば花ひらく

  • 家づくりを楽しむために -最終回
念ずれば花ひらく
月1回のペースで掲載してまいりました「家づくりを楽しむために」も、とうとう60回を超えました。「コンセプトをもつことの大切さ」「地元の木で家をつくることの意味や価値」など、日々感じ、思うことをお伝えしてまいりましたところ、多くの方々からたくさんのご意見やご感想をお寄せいただきました。事務所の存在を身近に感じていただいていることを大変嬉しく思っております。
5年の長きに渡り関心をお寄せいただきましたが、念願のホームページを立ち上げることができたのを機会に、今後の情報発信はそちらに移行し、皆様に心より感謝しながら、本年末を区切りとして、いったんペンを置くことにいたします。
夢に描き、取り組んでまいりました、「地元の木でつくる家」の輪も着実な広がりを感じています。これからも、「住まい手」が健全で快適な暮らしを享受できる「紀南のアイデンティティーに満ちた家」を手に入れていただくために、そして、 美しい「まちなみ」を一緒につくりあげるために、日々精進を重ねてまいります。
今後とも、ご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の願いが大きく花ひらきますことを祈っております。

感受性を家づくりにいかす。

  • 家づくりを楽しむために -その63
感受性を家づくりにいかす。
着心地、履き心地、乗り心地、住み心地……心地よさは人それぞれの好みや感じ方によって異なるため、数値で表わすことはできないものです。
今日、市場に溢れる製品の性能は、カタログなどで明確に表示され私たちの評価・判断の基準となっています。
「数字はウソをつかない」そのことは事実です。しかし、優秀な数字を誇る家がいい家とは限りません。
もっと奥が深く、住まい手やつくり手の感性が大きく関わっているのです。
“建築家とつくった家”がマスコミによく取り上げられています。
デザインに限らず、住まい手の生き方や生活スタイルなどで「数値で表せないこと」を建築家が汲みあげ、つくりあげることで、空間に魅力がつまっているからこそ、そう言えるのです。  
数値に満足することなく、自分たちの感性を信じ、大切にしながら本当に心地よい家をつくっていただきたいと思っています。

地元の山の木で家をつくる。

  • 家づくりを楽しむために -その62
地元の山の木で家をつくる。
ある時、富田川上流に「水源の森」を購入する案が、白浜町で可決されたという記事が新聞に掲載されていました。
「治山は治水」と昔から言われてきたように、森林には、洪水や土砂崩れなどの災害を防ぎ、渇水を緩和する機能があります。
近年、「広葉樹の森を増やす活動」が注目されています。
そのことも大切ですが、面積の広い人工林の危機的状況を回避することが、差し迫った課題です。
私たちの身近にあり、環境に大きく関わっている人工林は、適切な手入れと伐採を行えば、広葉樹に負けない豊かな生命を育み、その機能を果たすのです。
日本の森は、歴史の中で幾度か「乱伐による危機」に見舞われてきましたが、今日の危機は「伐らなさすぎること」により直面しています。
山から川・平野、 海へと連鎖する自然、地域の営みの中に生きている現実を直視するとともに、生活と直結する「地元の山の木で家をつく る」。そうすることが、人々のくらしに豊かさをとりもどすことに繋がっていきます。

「住まい」は「住まい手」の人格をあらわす。

  • 家づくりを楽しむために -その61
「住まい」は「住まい手」の人格をあらわす。
マラソンランナーの後を流れゆくパリのまちなみ…...テレビ中継の映像から、美しいまちを創っていく人々のエネルギー、美しさを求める生き方をあらためて感じました。
歴史や文化は異なりますが、私たちも「家づくり」を通して、「まち・まちなみづくり」に関わっていることを意識したいものです。
「間取り」を考えることを、「設計」する事、「デザイン」する事だと思っておられる方が多いようですが、それは、プロセスのほんの一部に過ぎません。
どう生きていくのか。そのためにどんな住まいが必要なのか。構造は鉄 ・コンクリートにするのか。木なら2×4がいいのか。在来工法にするのか。どんな材料・素材を用いるのか。誰と創るのか。地域にどんな影響を与えるのか。それが自分にとって何を意味するのか。手順を一つ 一つ踏まえながら判断し統合することが、本当の意味での 「デザイン」です。
地域性、自分たちの生き方を大切にしながら、1人1人が取り組んでいく。私たちが、「美しいまちなみ・まち創り」 の主役です。

「消費者」から「住まい手」へ。

  • 家づくりを楽しむために -その60
「消費者」から「住まい手」へ。
住まいの「健康への被害」「環境への配慮」などの問題の多くは、プランニングの段階から素材を選ぶことができるお施主さんの責任でもあると言えます。
経済性や利便性を追求し、「キズがつきにくい」「メンテナンスが楽」などの性能を特出させ、人工的に作り出された新建材がもてはやされてきました。その結果、シックハウスや環境汚染といった問題を引き起こしてしまったのです。
もともと住まいは、木・石・土など地域にあった天然素材を風土に合わせて、それぞれの性質・特性をうまく活かしながら創られてきました。住まい手側も、素材の総合性能を理解し、世代を越え上手く付き合ってきました。
家を「消費財」として売りたい側の希望する「消費者」には、決してなりたくないものです。
「住まい手」の立場で賢い選択をするためにも、なぜ今、「自然素材の家づくり」が叫ばれているのかに耳を傾け、素材の総合性能を学ぶとともに、理解を深めていただくことを願ってやみません。

「消費者」から「住まい手」へ。

  • 家づくりを楽しむために -その59
「消費者」から「住まい手」へ。
暮らし、地域とのつながり、住み心地…本来、家づくりは、住まい手を中心に考えられてきました。 しかし、住宅産業の発展とともに、経済原理が最優先とされ、本末転倒が始まったのです。
快適な住まいを成り立たせていた家づくりの理屈は、住まい手側を離れ、作り手側のものになってしまいました。家が「商品」として氾濫しはじめ、住まい手は「消費者」にされてしまったのです。
家は、10年、20年…と住み続けるうちに、家族と一緒に呼吸し、家族の思いを栄養としてやっと本当の「住まい」に育っていくものです。「住む」ということは、クリエイティブな行為であり、住まい手はクリエイターなのです。断じて「消費者」ではありません。
味わいと愛着にあふれた「我が家」をつくるためには何が必要なのか。環境への負荷、コミュニティーとのつながりはどうか…快適な住まいを成り立たせる理屈を、もう一度住まい手側に取り戻して真剣に考えていきたいものです。

日々の暮らしを優先させる家づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その58
日々の暮らしを優先させる家づくりを。
「家の中で一番日当たりの良い南向きの部屋だから、お客さま用に、ふた間続きの和室にしたいのですが……。」
そんなご相談を受けることがよく あります。
現在では、昔のようにたくさんの親戚・知人が集って、自宅で慶弔事をすることが少なくなりました。それに替わって、サービス・駐車場が行き届いた便利な施設を利用することが多くなっています。一生に何度あるか分からない非日常のために、多大な費用をかけ、最も条件のいい所に、普段使われない部屋をつくるのは、もったいないかぎりです。
むしろ、家族の団欒が日常的に楽しめる空間づくりに取り組んではいかがでしょう。
型にとらわれない、ライフスタイルや日常の実際に即した、自由な家づくりが、ご家族のための本当に暮らしやすい住まいを実現します。

作り手、住まい手の在り方を見つめ直そう。

  • 家づくりを楽しむために -その57
作り手、住まい手の在り方を見つめ直そう。
日本の住宅の平均寿命は近年長らく、約三十年程度のところを推移してきました。
短いサイクルのスクラップアンドビルドが繰り返されることにより生じる、自然の営みへの負荷が増しています。
百年の耐久性を持つ住宅をつくることは、建築技術的に充分に可能であるにもかかわらず、なぜサイクルが短いのか。
「時代とともに考え方や感性が変わること」「便利な次世代設備がどんどん開発されてくること」などの文化的ギャップを吸収できない構造の建物が増えていること。また、住まい手自身にもそうした 視野が欠けがちなことも大きな原因であるといえます。
このことを踏まえて、作り手側が家づくりに取り組むと共に、住まい手側も目先の利便性・経済性・快適性に振り回されない住まい方の工夫をすることが大切です。
「家の寿命は、作り手と住まい手が両輪になって決める」といえるのです。
メンテナンスを重ね、住み続けることで、より味わいのでるものにする。
「大切に永くつかう」心意気。
「自然のいのちのバトンをつなぐ家づくり」が広がっていくことを願っています。

基本のルールをしっかりまもる。

  • 家づくりを楽しむために -その56
基本のルールをしっかりまもる。
日本の大工技術は、世界でもトップレベルにあるといわれています。しかし、技術が高いために、無理がカタチになり、木造建築の基本の成り立ちを失ったまま建っている家がたくさんあります。
阪神・淡路大地震の結果をみると、新しい木造住宅でも倒壊したものがみられました。その原因は、建築主の要望に安易に従い、「未熟な素人間取り」のまま建ったために、本来あるべき柱や壁がなくなり、無理が生じていたり、経済性を重視するあまり、耐震について適切な施工がなされていなかった。などの人為的なものも多かったようです。
家族・財産を守る、耐震性・耐久性に優れた家づくりには、建築主の意識が大きく関わっているといえます。 間取りを考え、プランづくりを充分楽しむとともに、「木の特 性」・「木構造の原理原則・基本」をわきまえた専門家の意見にしっかり耳を傾ける。そのことも忘れないでいただきたいと願っています。

土塗壁のよさを見直そう。

  • 家づくりを楽しむために -その55
土塗壁のよさを見直そう。
エネルギーの総量抑制と節約、健康のことを考えるとき、自然の風や光を利用しないことは、たいへん「もったいない」ことであると言えます。
物があふれ豊かになった現在、私たちは暮らしに過剰な利便性や快適性を求めてはいないでしょうか。
例えば、「エアコン」と「高気密・高断熱の家づくり」の関係に目をむけてみましょう。
四季折々の自然の恩恵を受けられるこの地域で、過度に設備を使って暮らしをコントロールする必要があるでしょうか。
庇を深くし風通しをよくすれば涼しく住むことができるのに、最初から設備に依存し、「高気密・高断熱」にこだわるために、かえって余計なエネルギーを使って冷したり暖めたりしなくてはならないようなことに、なっていないでしょうか。
機械設備に依存する前に、まず工夫を凝らしてみる。そして、どうしても足りない部分だけ頼る。
「もったいない」のこころを忘れずに、今ある暮らしをもう一度、見つめなおし、家づくりにも活かしたいものです。

消費者としての価値観を見直そう。

  • 家づくりを楽しむために -その54
消費者としての価値観を見直そう。
再生紙、ノンフロン冷蔵庫、超低排出ガス車・・・環境のことを考えたエコ商品が私たちの周りにたくさんあります。なぜ、その商品が注目されるのか、消費者としての私たちの価値基準を今一度、考えてみたいものです。
住宅においては、全国各地で「木・自然素材の家づくり」が盛んになっています。地元の木を使うことで、山村の林業を支え、水源となる健全な森を育み、地域の環境を守っていくこと。また、地元の製材所、工務店、大工などの職人の技術をいかし、家づくりをすることで地域の経済社会が豊かになり、その結果、自分の生活も豊かになるということに気が付いているからです。
「木の家が好きだから」ということで、選択される方もいます。それも決断の要因ですが、「木・自然素材の家に住まうことの価値と意味」、そして、「人と人、自然と人とのつながり の大切さ」の認識を深めたいものです。

新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。

  • 家づくりを楽しむために -2003年始号
新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
「職人気質」という言葉に代表される、つくり手の良心。 心有る消費・使用する側の選択。環境への心配り・・・。
まさに今、大量生産・消費のシステム、私たちの価値観を 見つめなおさねばならない時代に突入しているのだと痛感 しています。
環境、コミュニティー、紀南らしさに心を留め、職能を通じて地域社会に貢献できるように、スタッフ一同、邁進してまいります。 本年もご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

解体処理まで見越した家づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その53
解体処理まで見越した家づくりを。
家電リサイクル法、包装容器リサイクル法、グリーン購入法・・・「循環型社会の形成」が叫ばれている現在、家の建築についても、もはや避けて通ることはできません。
「安さ」「見栄え」「効率」を追求して、スクラップアンドビルドを黙認してきた、私たちの意識が問われています。
これからは、「環境負荷が少ない素材」「耐用年数」などを含めて 総合的に家づくりの価値判断をしていかなければなりません。
そうしないと、「建てた当時は、安くできて喜んでいたのですが、取り壊すときに莫大な費用がかかって、かえって高い買い物になってしまいました・・・」ということになりかねません。
「家をつくる」ということは、個人の資産を手に入れるということであり、社会への責務を背負うということでもあるということを忘れたくないものです。

緑豊かな「家」「まちなみ」づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その52
緑豊かな「家」「まちなみ」づくりを。
ビルの屋上や壁面を緑化することで、建物の表面温度の上昇を和らげ、省エネルギー効果をうみだして、都市の過熱化(ヒートアイランド)を抑制しようといった活動が注目されています。 
自然の力を利用した暮らしを考えるとき、緑がもたらす効用も上手に活用したいものです。落葉樹なら、夏には強い日差しを遮り、葉の蒸散機能・日陰になった地面の保水効果により、涼を呼び込みます。冬には葉が落ち日差しが差し込むので、あたたかく暮らせます。また、防風・防塵・防音・目隠しなどの役割も果たし、季節感豊かな景観をもたらします。 
「家づくり」というと、なんとなく建物のことだけに捉われがちです。しかし、自分たちの暮らしはもちろん、訪れる人も心地よくする「まちなみ」づくりにまで視野を広げて、緑を育みたいものです。