コラムcolumn

自分らしくある、それが家づくりの最初の一歩。

  • 夢をカタチにする力 -その43
  • 居間が2階にある住まい (平成24年春竣工)
自分らしくある、それが家づくりの最初の一歩。
 住まいの形はご家族によって大きく変わります。Aのご家族では当然だと思えることも、Bのご家族では不快であったり意外であったりすることは時としてあるものです。
 今回ご紹介する住まいでは居間が2階にあります。敷地の形状や大きな前面道路との関係で、家族が集う居間空間を誰に気兼ねなく過ごせるように・・・と2階に上げる事になったのです。南には大きな吊りベランダを用意して居間の窓は掃き出しにしてあります。2階にあることで道行く人々と視線を合わせることもなく、大きく放たれた窓からは陽光が降り注ぎます。屋根形状を工夫してたくさんのロフトも用意しました。収納の容量アップを図れるのはもちろん、子どもたちの遊び場や書斎としても役立ちます。変化のある空間は単調になりがちな生活に楽しみを与えてくれます。
 それぞれのご家族にはそれぞれの事情があり、思いもニーズもまちまちです。これが正解・・・と言える回答などないのです。自分らしい暮らし方をしっかりと見つめて、それをカタチにした住まいが大きな満足を与えてくれます。自分らしくある・・・それが家づくりの最初の一歩だといえるでしょう。

 時の経つのは早いものです。計画の時には小さかった子どもたちもどんどん大きくなるでしょう。この子たちと気持ちよく過ごしたい・・・とおっしゃっていた奥さんの夢を、ちょっと他所とは違うこの住まいがいつまでもしっかりと受け止めていてくれることを願っています。 

かずまくんちは、呼吸する長期優良住宅です。

  • 夢をカタチにする力 -その42
  • 良守(かずま)くんち (平成23年夏竣工)
かずまくんちは、呼吸する長期優良住宅です。
 長期優良住宅は高気密・高断熱でなければならないと思われているようですが、そうとも限りません。むしろ、木の家では高気密・高断熱の仕様は木の家特有の快適性を阻害したり、住まいの寿命を縮める要因ともなりかねません。
 一般に、断熱性能を高くすると結露の危険性が高まります。そこで、結露を避けるために高気密が必要になるわけです。高気密の住まいを造ってしまうと、湿気は室内からの逃げ場を失いますので、エアコンや強制換気が必要になります。機械効率を上げるためにますます高気密・高断熱の度合いを高め、部屋を小さく区切って・・・という悪循環では人に優しい環境は創れません。多少効率が良くなるからといって、長時間にわたって機械制御が必要な高気密・高断熱の家をエコとは呼べないと思うのです。
 木の家の大きな特徴は湿気を調整できるところ(調湿性)と、熱を蓄えられるところ(蓄熱性)です。たとえ長期優良住宅といえども、木の家である限りは、木の家の特徴を良く発揮できるこしらえが必要です。「良守(かずま)くんち」は家全体で湿気を屋外に排出する仕組みを備え、蓄熱・調湿の役目を果たす自然素材で出来た清々しい空間を持つ、とっても珍しい「呼吸する長期優良住宅」です。

木の家は、人と街と森をつなぐ絆。

  • 夢をカタチにする力 -その41
  • 紀州梅の里 なかた (平成24年春竣工)
木の家は、人と街と森をつなぐ絆。
 住宅では一般的な木造も、少し大きな建物ではコンクリートや鉄骨になってしまい残念に思うことがあります。
 工夫すれば木造で気持ちのよい空間が出来るのに・・・そんな思いをカタチにしたのが田辺市にある「紀州梅の里 なかた」です。
 店舗としての大空間を構築するため特殊になりがちな柱・梁は、一本で大きな材料を用意するのではなく、無理のない寸法の材料を組み合わせて組柱・組梁としました。壁には珪藻土を塗り上げ、天井は和紙貼りとしました。アプローチには梅の木をイメージして斜めに丸太を建て込み、床には金錆の石を貼っています。
 出来上がった空間は、複雑に組まれた柱・梁が森の木々を連想させ、梅の花の形に仕込んだ照明器具とともに訪れる人々を心地よく包み込みます。
 すべての建物は「まちなみ」を構成する最小の要素であり、地域の産業や環境と切り離してはあり得ません。たとえ個人所有の住宅であってもその役割から逃れられませんが、企業や公共の所有する建物・・・不特定多数の訪れる店舗などは尚更です。

 人に気持ち良い空間を構築し、地場産業と緑環境に貢献する「木」の可能性に注目し、紀州材を使った大型店舗のモデルケースを造ろう・・・と決断されたトップに敬意を表します。
そして、人と街と森がますます強い絆で結ばれていくことを願っています。

本当の快適さとは・・・。

  • 夢をカタチにする力 -その40
  • 薪ストーブの家 (平成22年春竣工)
本当の快適さとは・・・。
 冬場は、陽差しが気持ちよく入って、暖房機などなくても暖かく暮らせる家が理想です。しかし、現実はそういうわけにもいきません。エアコンなどは頭がボーッと熱くなるばかりで足元が寒い・・・と、おっしゃる方も多くいます。心地よい暖かみを得るコツは住まい全体をホッコリと暖めてしまうことです。
 私の設計する住まいでは、薪ストーブを選択される方が多くいます。圧倒的な火力で住まい全体を暖めます。もちろん建物の方にも工夫が必要です。しっかりとした外断熱ですっぽりと建物を包み込んでしまいましょう。横方向だけでなく、縦方向にも暖気の通り道を確保しましょう。せっかくの暖気を蓄えることの出来る室内仕上げを施しましょう。
 家の中、どこにいても暖かい空間は思いのほかの快適さを提供します。火は家族の交流を促し、自然と集う空間がそこに出来上がります。薪の調達や火の始末など、やっかいなことも多いのに、皆さんが暖房機として薪ストーブを選択される理由も分かるような気がします。
 また、最近では床暖房や深夜電力型の蓄熱暖房機なども採用されはじめました。いずれも、快適に冬場を過ごすためには効果的な器具です。

 効率を最優先したつもりでビニールクロス貼りの小さな部屋を連ねてみても快適な暮らしは望めません。ここは一つ立ち止まって、家族にとって本当の快適とは何かを考えてみましょう。選択肢は色々とあるものです。

住まい手はクリエーター。

  • 夢をカタチにする力 -その39
  • 福島の家 (平成21年秋竣工)
住まい手はクリエーター。
 一昔前・・・お客様をお迎えする玄関や客間などはとても大事にされてきました。おもてなしの心を表現し、そのお宅を代表する「顔」の役目を果たすために、条件のよい南や東に陣取り、そのくせあまり活用されないでいたのが現実です。
 しかし、この住まいでは、玄関土間を大きくとって、直接居間空間につながるように設計しています。玄関はおもてなしの場、家の「顔」ではありますが、同時に居間空間の土間コーナーとしても機能するわけです。ある時には鉢植えの緑を持ち込み家族の和みのコーナーとなり、ある時には自転車置き場となり、ある時には趣味のスペースとなるのです。こうすることで住まい手の暮らしの幅が大きく広がり、空間活用に様々な可能性がひらけます。
 住まいのカタチは、敷地条件や家族構成や予算などの多くの制約の中から、本当に大事な事柄を丁寧にひろいあげるところから生まれます。家ってこんなものでしょう・・・というあてがわれた価値観に縛られて、ヤドカリのようにそこに家族の暮らしを押し込むことより、例え少し世間とは変わっていても、徹底的に家族・住まい手を中心に発想した、住まい手が積極的に参加した家づくりをすることをオススメします。ご本人でなければ決断できないことが家づくりにはたくさんあるのです。